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2011年11月29日火曜日

こないだから,うちの子ども(3歳)が読め,読めと騒ぐ本がある。いろいろと事情があり,都内某所で子どもを拾い,子どもと二人で家まで帰ってきたのだが,「今日図書館に行って本を借りてきて,その本がオオカミが赤ちゃんになって面白い。お父さんも読もう」などとたどたどしく教えてくれた。
それがこれであった。


3びきのコブタとまぬけなオオカミ (児童図書館・絵本の部屋)3びきのコブタとまぬけなオオカミ (児童図書館・絵本の部屋)
ジョナサン アレン Jonathan Allen

評論社 1998-04
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笑える。

ぜんぜん情操教育とかにはなっていなそうである。

でも,さすがに1日5回は飽きる(こちらが)。本人は飽きていない。


子どもは,情操教育にならなそうな絵本が好きだ。
それでいいかな,と思う。情操教育って何なのだろう? ペットの犬が死ぬ話を読んでオイオイ泣く子を育てるのが目的なのだろうか? 「泣ける話」に泣くのが正しいのだろうか? なんてことを考える。

というわけで,まったく情操教育にならない絵本続き。

情操教育にならないといえば,長谷川義史さんだと思う。いや,一回転して,情操教育になっているのか。。。
子どもの友達が家にくると,必ず,読んでしまうのが,

いいからいいからいいからいいから
長谷川 義史

絵本館 2006-10
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である。

続きもあって,

いいからいいから〈2〉いいからいいから〈2〉
長谷川 義史

絵本館 2007-09
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いいからいいから〈3〉いいからいいから〈3〉
長谷川 義史

絵本館 2008-09
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いいからいいから〈4〉いいからいいから〈4〉
長谷川 義史

絵本館 2010-05-25
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ま,楽しい話である。決して,「深層心理学的物語分析」などされなさそうな話であるけれど。

2011年11月28日月曜日

出版反省記

 
いい本なのに売れない。

ということは,これは,私の力不足なのか,あるいはコンセプトがおかしかったのか。あるいは,私が盲目であったということなのか。

栗原和彦先生の本である。『心理臨床家の個人開業』



この在庫がまだずいぶんと残ってしまっている。分厚い本だから,また目立つのである。

遠見書房主としては,この本は1年くらいで増刷するだろうと見込んでいた。遅くとも2年でどうにかなるだろうと。高い本であるが,1000部刷った。高いが,ページ単価としては安いと思う。勝算は当然あった。面白いからだ
遠見書房の本は,はっきり言って,面白い本ばかりである。本当に申し訳ないくらい面白い本がそろっていると思う。いや,ほんと,そうです。
とはいえ,限定的な面白さであることは否めない。すべての心の専門家といった想定する遠見書房の読者層が読んで,全員が面白いとは言ってくれそうにない。そういう意味の「限定的」である。
確かに,『心理臨床家の個人開業』は,限定的な本である。「開業」の本である。「心理臨床家」と限定している。「家」がつくと,どうも高尚な感じになってしまうところもある。読む人は一部に限られるかもしれない。

でも,面白いんだがなあ。

でも,刷った本の半分以上が残ってしまっている。返品はさほど多いわけではないが,追加注文が多くない。高いから避けられているのかもしれない。アマゾンでの注文も寂しい。来年度,教科書採用などにすると,臨床の所作などがわかっていいと思うのだが,学生さんにとれば,馬鹿高の本であり,なかなか難しいかもしれない。

遠見書房の本は,刷って半年で,半分以上がなくなる。今までのどの本もそうであった。それだと,なんとか3年くらいで在庫がなくなる(たぶん)。そういう計算になっている。だいたい計算どおりだ。
けれど,今回は,非常事態である。やばい。

どうして,こうなってしまったのだろうか? と,うずたかく積まれた在庫の山を見て,考えた。以下,反省。


1)タイトルが高尚すぎた
これは,先に書いた。でも,びしっと決まったいいタイトルだとも思う。

2)値段が高い
確かに高い。でも,専門書としては,良心的な値段だとは思う。

3)字ばかりだ
確かに字ばかりだ。ぎゅうぎゅうに文字が詰まっている。でも,レイアウトもいろいろと工夫して,読みにくくはない。(と,こないだの「臨床心理学」誌に書評があった。(信田先生,素晴らしい書評をありがとうございます))

4)重い
2冊分冊にするべきだったか,とも思う。でも,1冊で4600円と,2冊で6400円,どちらがいいだろうか? 出版社的には後者かもしれないけど。

5)著者に敵が多い?
と,ご本人も仰っている。ま,そうかもしれない。とはいえ,遠見書房主だって,敵が多い。というか,遠見書房の著者には,ヒトクセもフタクセもある方が多い気もしてきた。私はいたってノーマルなのに。

6)時期が悪かった
刊行は東日本震災から2カ月くらいのところだった。高い本を買う気分じゃないかもしれない。ましてや,「開業」どころの話じゃないかもしれない。

7)カバー
カバーとオビはよくできたと思う。オビのコピーは,ちょっと自己愛的だったかも。私の作ですが。
でも,ソフトカバーという選択もあったかもしれない。

8)本当はいい本じゃない
というわけはない。さすがに,それはないだろう。。。

9)個人開業のニーズが思ったよりも低い
ということはあるかもしれない。でも,類書がない本はわりに売れることが多い。
そもそも,大学教員の数は決まっていて,公務員や病院常勤も×,SC時給も減収傾向となると,一部のかたがたにとっては,個人開業は収入確保の最良の手段だと思うのですがね。
実は,臨床心理の方を雇って,どうやれば,儲かるんだろう(win-winの関係で)と考えたことがあるんですが,無理でしたね。中間搾取すると,美味しくなくなります,お互いに。
そういう意味では,個人開業は,心理臨床家にとって,ほとんど唯一の,優れたビジネスモデルだと思う。覚悟は必要ですが。
とはいえ,開業を考えない方にも,この本は面白いです。


と,まあ,わざわざ実名をあげてしまうのは,情けにすがって,買ってはくださらないかと思うからであります。
いい本です。買って後悔することはないと思います。ぜひ。

2011年11月24日木曜日

【新刊】『事例でわかる 子どもと思春期への協働心理臨床』竹内健児編



すっかり冬らしい天候になっておりますが,皆様,お元気でしょうか。

冬にもめげず,出版不況にもめげず,けなげに生きております遠見書房主でございます。

一昨日ですが,新刊の見本があがってきましたので,紹介します。

立命館大学心理・教育相談センターの竹内健児先生編集による,

『事例でわかる 子どもと思春期への協働心理臨床』

定価3,150円(税込)、212頁、A5版、並製
C3011 ISBN978-4-904536-30-8

http://tomishobo.com/catalog/ca30.html



でございます。


テーマは,コラボ。

「協働は難しい!
でも,愚痴をこぼしているだけでは解決にはならない」


っていうのが,キャッチコピーでございます。

本書の詳しい内容は,小社HPをごらんください。

http://tomishobo.com/catalog/ca30.html

協働という実践スタイルは,いま一番「正しい」現実を示しているものと思います。
研究論文レベルでは,あたかもそのクライエントとセラピストしかいないかのような,ケースが描かれることがありますが,実際には,家族があり,友人・知人があり,会社の同僚や,ほかの対人援助職もあり,占い師のような人だって背景にあるかもしれません。
と,まあ,こんなことは,何十年も前から言われていますが,本書は,本当の意味で,「協働」を正しく描いた,実に面白い,また,ヒントに満ち満ちた役立つ本になりました。

とはいえ,はっきり言えば,「協働」の本,人気ないのですね。まあ,なんとも,売れない。心理臨床実践において一番重要なテーマだと思うのですが,類書も多くないです。それよりも,個人療法における介入技法を扱った本のほうが売れる。じゃ,心理職の方は,チーム医療なり,チーム対応が上手なのか?と言えば,そうではないというような話を漏れ聞きます。いまだに,面接室にこもりっきりのSCの方がおられるという話もありますし。
事例の描き方も難しい面があるかもしれません。自分の手柄にしたいのは,だれだって当然ですし,そうでなければ,投稿しても,リジェクトされてしまいますし。

という現実をうがとうと集まったのが,竹内先生をはじめとする,本書『事例でわかる 子どもと思春期への協働心理臨床』のメンバーたちであります。
とても面白い本です。いい事例ばかり。その事例に対する「討論」なども入っており,深いものになっています。(といって,深層心理学という意味ではないです)

いつもなら,「読んでみてください」くらいで終わりにするわけですが,協働の本は,(残念なことに)人気のない分野ということもあり,「ぜひ,ご購入ください」とお願いする所存です。ぜひ,ぜひ。


2011年11月19日土曜日

【乙様】乳幼児医学心理学会【自分】



11/19(土)乳幼児医学心理学会で書籍の展示販売をしてまいりました。
神田の専修大学で行った大会で,大雨(なんか台風のようでしたが)のためか,なかなか厳しい状況でありました。
昨年は,永田先生の周産期の本が出たばかりで,わりに売れたのです。


が,今回は,学会のメインテーマが発達障害の早期発見ということもあり,売り上げ不振には,それも大きかったのでしょう。会場の気分と合わなかったのだと思います。
それでも,交通費はかかりませんし,まったくの赤字というわけではありません。天気がよければ,もう少し,よかったかな,と感じております。

それにしても,乳幼児医学心理学会もそうだと思うのですが,臨床心理学なり,精神医学のコアから少し外れた領域は,なかなか興味深いものがあります。
永田先生の「周産期のこころのケア」もそうですが,非精神科領域は,臨床心理学の分野では,徐々に広がってきています。緩和ケアなどは,とくにそうで,臨床心理の方もずいぶんと参入されているようです(がん拠点病院に臨床心理士を入れるようになっているのが大きいかもしれません)。緩和ケア病棟には,精神科医で入られている方もよく聞きますし,「心」が重要視されている分野だと感じます。
ほかにも,糖尿病や透析,歯科(噛み合わせ),在宅医療など,どちらかといえば,「慢性的」に推移する疾患に対して,心の面からアプローチするのが広まりつつあるように感じられます。もちろん,その歩みはまだまだ小さいですが,確実に歩まれているようです。

一方で,こうした非精神科領域は,心理が入り込むには,なかなか大変な面があります。
たとえば,緩和ケアですと,がん一般に対する医学的な知識が必要になります。「心」にのみ対応すればよい,という意見もありますが,患者さんは,心理職に対しても,看護職に対しても,同じ「医療者」として認識しているのがほとんどだと思いますので,当然,ふつうに医療的な質問をされるのではないかと思います。たとえば,この抗がん剤は効くのか?といった質問を。これに対して,私は心にのみアプローチしています,と答えることはなかなか現実的ではないように思います。抗がん剤に対する,あるいはほかの治療法や代替治療に対する「幻想」をどう扱うのか,という意味でも,医学的な知識がそれなりに必要だと感じます。この勉強は,やはり大変です。

などと言っていますが,実は先日,小社の,「緩和医療レクチャー」



を,じっとごらんになって,「緩和って興味あるんだけど,この本は,難しそう……高いし」と呟いていた方があったのですね。
だもので,遠見書房主としては,「いやいやいや,この本くらいは読んでおこうよ」と思ったのです。いや,ほんと,この本,緩和医療に対する知識をほとんど(全部とは言いません)網羅した,いい本ですよ。

ま,スタートは,この2冊でしょうかね。他社本ですが,

癌と心理療法癌と心理療法
岸本 寛史

誠信書房 1999-09
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緩和のこころ―癌患者への心理的援助のために緩和のこころ―癌患者への心理的援助のために
岸本 寛史

誠信書房 2004-06
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2011年11月17日木曜日

日米自閉症スペクトラム研究会議

12/1 日米自閉症スペクトラム研究会議があるそうです。

http://www.get-in-touch.jp/index.html

辻井正次先生より,上記,会議の情報をいただきました。

会議は,専門家のみOK らしいですが,啓発イベントのほうは,オノ・ヨーコ(!)さんも講演されるとか。ど,どんな話を。。。しかも,手弁当とか。司会は,東ちづるさんとなっていますが,これはあの東ちづるさんですよね。かなりの方がボランティアで参加されるそうです。
協賛金を些少ながら出したのですが,まだまだ足りないそうで,申し訳ないところです。ほんと,些少なんで。。というわけで,せめて情報をブログに掲載することにいたしました。
多少の罪滅ぼしになったでありましょうか。。



http://tomishobo.com/catalog/ca11.html

なお,↑↑,在庫僅少です。

2011年11月14日月曜日

高橋規子先生が亡くなったそうです

ナラティヴ・セラピストとして,家族療法家として,ブリーフセラピーの実践者,はたまたNLPのひと,として名をはせ,東京・府中市で開業されていた高橋規子先生が,昨日(11月13日),亡くなったそうです。

明後日(16日)が仮通夜,葬儀(17日)の模様。詳しい情報を知りたい方は,遠見書房までご連絡ください。



それにしても,まだ若い。

47歳だったかと思う。夭逝といっていいと思う。

食道がんだった。再発だと聞いた。残念だ。本当に,悲しい。


高橋先生との付き合いは,けっこう古い。

システム論からみた学校臨床システム論からみた学校臨床
吉川 悟

金剛出版 1999-09
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これに寄稿していただいたときから……いや,この前からだから,1998年くらいだろうか。13,4年?


こんな本も一緒に作った。
(吉川先生の力技に,心底,ふたりで驚嘆したのを覚えている。下記の本には,吉川先生の解説論文があるのだが,原稿用紙50枚くらいのそれを,吉川先生は,目の前で,即興で,話した!……それをそのままテープで起こしたのがそれであった)

ナラティヴ・セラピー入門ナラティヴ・セラピー入門
高橋 規子 吉川 悟

金剛出版 2001-11
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最後にお会いしたのは,10月の終わりころだった。
緩和病棟に入られたと聞き,お見舞いに行ったのだった。またきてね,と言われたのだが,結局,それが最後になってしまった。痩せられ,なんだか少女のようだったのを思い出す。

その前はいつだったろう。9月か。そのときは,ちょっとはお酒を飲んだ。その前はいつだろう。今までに数え切れないくらい一緒に酒を飲んだことは事実である。


再発した,と聞いたのは,今年の3月くらいだったろうか。そのときには希望があった。また治ると笑って話していた。遠見書房で作る本が,絶筆になったら,シャレにならんね,などとも言っていた。

それで,私はのったりのったりと仕事をしていた。抗がん剤が効かなかったという話を聞いたのは,6月くらいだったろうか……。余命は不明だった。何とか生きているうちに本を仕上げようと,あちこちに迷惑をかけてしまった。先に決まっていた予定の本を,急遽,延長して,高橋先生たちの本を早めに出させてもらったのだった。

本当にいい本になったと思う。




ぜひ,読んでみてください。

高橋規子先生,また,一緒に酒を飲みましょう。そのうちに。
合掌。

2011年11月11日金曜日

【小倉清】かの児童精神科医の本が出ます【村田豊久】

とある若手 児童精神科医の先生に「なんで,児童精神科医になったのよ」というような話を聞いたら,「よくなるから」と端的に答えていたのが印象的でありました遠見書房主でございます。
確かに,こころの病は治りにくい。治らないこともある。なんとか生きていく,という方向以外の選択肢がない場合もあります。大人はなかなか変わりません。かくいう私も,18歳くらいからあんま成長していない気がします。
でも,子どもは,変わる。どんどん変わる。3歳くらいの子どもも,ちょっと前まで,昼寝をすれば寝小便を垂れていたのが,自らトイレに行き,小便をして,水洗流して,手まで洗ってくるようになる。不思議なものです。
こういう変化(あるいは成長,発達)は,子どもの場合は大人に比べて,当然,大きく,いい方向づけができれば,本当に変わっていく。それは,病をもった子であっても,障害がある子であっても。

そういう意味で,児童精神科は,いい仕事だな,と本当に思うわけです。保育・幼稚園の先生や学校の先生もいい仕事だなあ,と思いますが。。

ともあれ,遠見書房では,このような本を今度出します。


(クリニックおぐら)小倉 清+(村田子ども心理教育相談所)村田豊久 対談
聞き手:(大正大学教授)小林隆児





小倉先生と村田先生といえば,児童精神科医の大重鎮のお二人。お弟子さんにしろ,私淑する方にしろ,とても多いお二人でありますが,このお二人の座談会を,これまた高名な児童精神科医でもある小林隆児先生が聞き手となり,できた1冊。

深い話がてんこもり。

詳しくは,小社HPをごらんくださいませ。

http://tomishobo.com/catalog/ca29.html


小倉先生の関連書としては,

子どものこころ―その成り立ちをたどる子どものこころ―その成り立ちをたどる
小倉 清

慶應義塾大学出版会 1996-04
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子どもの臨床 小倉清著作集 (1)子どもの臨床 小倉清著作集 (1)
小倉 清

岩崎学術出版社 2006-08
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これは,4巻くらいいろいろと出ています。


村田先生は,

子どものこころの不思議―児童精神科の診療室から子どものこころの不思議―児童精神科の診療室から
村田 豊久

慶應義塾大学出版会 2009-07
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この本はとても評判になっています。


子ども臨床へのまなざし子ども臨床へのまなざし
村田 豊久

日本評論社 2009-05
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遠見書房でも,



ぜひともよろしくお願いします。

「あんぱんまん」の絵本を読む

「ガンダム」といえば,ファーストに限る,みたいな話がある。
話の意味がわからんという方も多いかもしれないが,「ガンダム」というのはいくつかシリーズがあって,その最初のものが,「ファースト」(1st)として,崇め奉られている。

シリーズになっているものは,映画にしろ,小説にしろ,マンガにしろ,「最初のが一番だよね」みたいな話になりやすい。
私の上の世代は,「スターウォーズ」を映画館で観たかどうか,というのが,何かの指標になっているらしいし。確かに,「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にしろ,「インディ・ジョーンズ」にしろ,「1」が一番いい気がする。
とはいえ,あまり「ファースト」がもてはやされないものもあって,たとえば,シャーロック・ホームズとか。「『緋色の研究』がベスト・オブ・ベストだよ」などという話は,確かにあまり聞かない。まあ,ちょっと世界観が確立していないところがあるのかもしれないけれど。

ファーストがあまり知られていないという意味では,

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)
やなせ たかし

フレーベル館 1976-05
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であろう。


うちの息子(3歳)が,ある日から唐突に「アンパンマン」に目覚めた。どうも友だちのうちに行ったら,感化されてきたらしい。基本的に,そうした「ブランドもの」は与えないようにしてきたのだが,とうとう気がついてしまったようだ。
寝ても覚めてもアンパンマン,アンパンマンと言っている。そんなある日,本屋に行ったら,「アンパンマン」のよくわからない本の前で,「テコでも動きません」の状態になってしまった。オモチャやお菓子と違い,本ならば,けっこう気にせず買ってあげているので,買ってもらえると踏んだらしい。そして,書店には(面白みのない本屋に限って)アンパンマンとディズニーの本が山積みになっている!

でもって,一計を案じて購入したのが,「あんぱんまん」ファーストである(ひらがな表記なんですね)。

「あんぱんまん」ファーストのことは,一番安定している(何を読んでもホント面白い。子どもも喜ぶ)絵本作家 長谷川摂子さんの絵本ブックレブュー本,

絵本が目をさますとき絵本が目をさますとき
長谷川摂子

福音館書店 2010-03-25
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にあった。

「あんぱんまん」ファーストは,オドロオドロシイ内容である。食パンマンもバイキンマンも出てこない。ジャムおじさんの設定も曖昧で,工場内でパイプを燻らせていたりする。あんぱんまんがさっと頭を差し出すのだ。半分,かじられていたりする。そのまま空を飛んだりする。アニメだと,そのあたりはぼかしているというか,さっとあげる,みたいになっているが(というか,もやは食べさせることはあまりしないようだ),ファーストは違う。ファーストはガチだ。「さあ,ぼくのあたまをたべていいよ! えんりょしないで!」そんなことを言われてもなあ。というか,別途用意するとかできないのかね。などと考えてしまうのが大人であろう。

正直に言えば,多少,意地が悪い気持ちから,子どもに買ったのであるが,そのわりに,子どもは気に入っている。アニメと絵柄が違うが,さほど気にしていないようで,オドロオドロシイ内容も面白がっているようである。
やなせたかしのあとがきには,本当に感銘を受ける。

というわけで(どういうわけで),小社の絵本,「かばくんのきもち」もよろしくお願いします。

2011年11月10日木曜日

日本ブリーフサイコセラピー学会に出張販売

先週の11/3-5のあいだ,日本ブリーフサイコセラピー学会に出張販売をしておりました。

平日が入っていたこともあり,数日間,流通はストップしてしまい,ご注文(これがまた多かったのですが)いただきました皆様には,大変,失礼をいたしました。昨日までに,発送を終えております。

さて,秋の学会シーズンもそろそろ終盤戦です。

今日からの日本児童青年精神医学会(於・徳島)では,小倉・村田両先生の本など,合わせて金剛出版様に預かってもらっております。

来週の,日本精神分析学会(於・名古屋)では,新元社様(創元社様)に預かってもらっています。

全点数というわけにはいきませんが,各学会で「売れそうな」と遠見書房主が妄想するものを置かせてもらいます。

なにとぞ,よろしくお願いします。

また,11月19日 日本乳幼児医学心理学会(専修大・神田)には,遠見書房として出展の予定です。
遠見書房の本,全点のほか,西園マーハ先生の岩崎学術出版社さんから出たばかりの新刊も持っていこうと思います。
(追記:これだそうです→産後メンタルヘルス援助の考え方と実践 http://www.iwasaki-ap.co.jp/2011/11/post_271.html

  *  *

さて,ブリーフサイコセラピー学会でありますが,すでに21回大会なのですね。今年は秋田。秋田といえば美味いものの産地でありますが,いや,食ったり飲んだりの3日間。しかも,露天温泉つきのビジネスホテルだったもので(それでも4500円/泊ッス。超絶最高),何をしにいったのか。。

バチがあたったのか,本の売れ行きは曇天ぎみでありまして,ま,4500円/泊に助けられたのもあって,なんとか黒字でありましたが,よくよく考えたら(いや考えなくとも),遠見書房ではブリーフの本,ないんですよね。
地方学会では,学会員じゃないけれど地元の臨床家…という方が多くいらっしゃいます。当然,ブリーフ学会でも同様で,「よしゃ,本,買うべか」となるも,遠見書房にブリーフの本がないんじゃ,買ってくれないのは,当然の帰結。
来年も神戸(一応,地方の範疇か)だというので,何冊か仕込むか,と気合を入れているところであります。

で,まあ,一番売れたのは,

高橋規子さんと八巻秀さんの

『ナラティヴ,あるいは コラボレイティヴな臨床実践をめざすセラピストのために』



すでに読んでおられた方も多く,ものすごい冊数が売れたわけではなかったのですが,ご好評をいただきました。
「この本は,面白かったね」とおっしゃっていただいたので,本当に励みになりました。いや,ほんと,この本,面白いんですよね。読後感としては,「頭のなかがぐるんぐるんなる」系です。文章はわかりやすいですが,いろいろと考え込みたくなる。そんな本になりました。

もうちょっとレイアウトに凝ればよかったかな,と反省駄々漏れのところもありますが。