遠見書房のメルマガ

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2010年12月31日金曜日

大晦日なわけですが

 


2010年もすっかり終わり,いろいろとあったことが思い出されます。幸福な出来事も不幸なこともありましたが,来年はどうなるのでしょうか。

今年は,11点,刊行いたしました。
以下,発行人的短報であります。

『子どもの感情・親の感情』


今年の小社のベストセラーです。ま,でも600円ですから……。お母さんたちに配っている自治体もあるようです。小粒ながらいい本ですよ。








『N:ナラティヴとケア』 第1号


本邦初のテーマの雑誌です。「架橋する」キーワードであるナラティヴがテーマですが,重箱隅的な専門性が鼓舞される時代に,「架橋する」ことは,本を売るにはなかなか難しいのかな,とも思ったり。書店の本の並べ方に限界があるのかも。検索して本を探す,アマゾンほかネット書店で売れているのは,当然かもしれません。





『子どもの心と学校臨床』第2号


特集は,「学校の中の発達障害の子ども:クラスに発達障害のある子もいるというあたりまえの現実の中で」。売り切れ寸前です。雑誌の増刷は考えておりませんので,ご注文はお早めに。







『緩和医療レクチャー』


京大医学部の緩和医療チームによる本。緩和医療のプラクティカルな教科書です。この分野に携わる方には必須の情報が山盛りです。







『心理学で学ぶ!子育て支援者のための子育て支援ガイドブック』


上記『子どもの感情・親の感情』と一緒に購入される方も多く,この分野の広がりを感じさせるところでもあります。子育て支援には,さまざまな方法論があるかと思いますが,これは「対 保護者」の本。モンペア対策とまでは言いませんが,それに近い事例もあり,とても参考になるかと。






『危機への心理支援学』


緊急支援のキーワード集といえばいいでしょうか。この分野の集大成だと思います。起こってからは遅いので,ぜひ,お手元に1冊あるといいんじゃないかと思います。






『認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル』


先日,増刷が完了した本です。売れています。CBTが現在,流行しているという面もあるかもしれませんが,いい本です。とても,役に立つ。援助職の新しい立ち位置がここにあるんじゃないのかな,と思います。







『絵画療法の実践──事例を通してみる橋渡し機能』


絵画療法――芸術療法だとか描画療法だとかとも言われますが――の実践+研究の書。絵画療法の本って,かなりニーズがあるんですね。再認識した次第です。







『子どもの心と学校臨床』第3号


特集は,「小さなことからはじめてみよう! 学校コミュニティへの支援」。コミュニティ支援ですね。SCにとっては,かなり重要なテーマだと思うのですが,営業的にはちょっと不満があるような…。難しいものです。






『ナラティヴ・時間・コミュニケーション』


この本は,どう説明したらいいんでしょうね……なかなか,タイトル以上に,説明する言葉がないのですが,とても面白い本です。20年後,この本が歴史的にどこかに位置づけられるのではないかと,勝手にわくわくしているのですが。







『周産期のこころのケア』』



出産前後の時期の心理的ケアをテーマにした1冊です。この分野で働いている心理の方は,まださほど多くはないですが,広がる可能性は高いのではないかと思っています。






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というわけで,どれも掛け値なしに,いい本が揃いました。
昨年の山中先生,乾先生などの本のように,泣く子も黙るようなビッグネーム本はありませんでしたが,どれも粒の揃った,遠見書房らしいラインナップになったかと思います。
売れる/売れないは,二の次,三の次……なんてカッコいいことは言えませんが, その分野で実践を重ねている人,そうなりたい人にとっては,重要な本ができたと思います。小社としても,いい仕事ができました。

一年のご愛顧,誠にありがとうございました。

どうか,来年もよろしくお願いします!

2010年12月28日火曜日

本物の本

 
「ホンモノ」とカタカナで書くのはウソっぽい感じがする。まあ,どうでもいい,こだわりではありますが,こだわり,大事です。やっぱ,本物はこだわりがなくちゃいけない。

こないだ,

垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)
山野井泰史

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を読んだのですが,やっぱ,山野井泰史は本物のクライマーですね。というか,もういっちゃっているわけですが,本物だけがもつ凄さがあります。
以前,単行本で出ていましたが,ついついヤマケイ文庫なるものが創刊されたとのことで購入。

登山業界も,周辺事情はよく知りませんが,ウソクサイ自称冒険家が増えていますからね。だまされてはいけません。ビジネスモデルとしてはいいのかもしれないけれど,なんていうのか,「おれが,おれが」と一歩も二歩も出てくるような人ばかりがもてはやされる社会というのは,どういうんでしょうね,なんか,殺伐としてきます。

なんて,なんで,私,登山の本の話しているんでしょうか。うーん,正月休みで,雪,降っているんで,どこか行きたいだけなのかもしれない……。

ええい,もう1冊,もののついでに紹介したれ。

初代竹内洋岳に聞く初代竹内洋岳に聞く
塩野 米松

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タイトルがなんで「初代」なんだというところがよくわからないのですが,竹内洋岳も本物のクライマーだなあ,とただただ驚嘆。日本で初のヒマラヤ8000m峰 14峰の完登を登っています。
この竹内さんには,ちゃんとした本を書いてほしいなあ,と遠くから思っておりますが。


「本物」ついでに,

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃

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こないだ読了したのですが,すげえ,です。SF好きはぜひ。嫌いでもぜひ。こんな才能,なかなか生まれません。とはいえ,伊藤計劃氏,2009年に30代の若さで,逝去されています。惜しい。本物なのに,惜しい,もっと書いてもらいたかった,とただただ嘆息。



というわけで,唐突に,来年の抱負ですが,遠見書房も,本物の本を来年も作っていきたいと思っている所存です。
 

2010年12月16日木曜日

す,すげぇ~話

す,すげぇ~

と心底思ったニュースです。

http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140212.html

生産能力10倍 「石油」つくる藻類,日本で有望株発見


藻類に「石油」を作らせる研究で,筑波大のチームが従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。チームは工業利用に向けて特許を申請している。
(略)
筑波大の渡邉信教授,彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類に注目し,東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これらの性質を調べたところ,沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。
球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。水中の有機物をもとに,化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り,細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると,これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて,10~12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。
研究チームの試算では,深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば,日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。

==


す,すげえ話じゃないんですか?
何年先かわかりませんし,石油メジャーによる圧力だとか,OPECによる藻へのテロルなど,国際諜報小説ばりの妄想を膨らませているわけですが,ともあれ,すごい。実現すれば,なんか,世界が変わるよ。

で,まあ,

2万ヘクタール


ってどのくらいだろうと思ったわけです。

調べたところ,

日本の農地は,380万ヘクタールくらいだそうです。
稲作は165.7万ヘクタールだそうで。

うんで,耕作放棄地は,すでに全国の農地の1割にあたる38万ヘクタールもあるんだそうで。埼玉県の大きさと一緒だとか。
ちなみに,鹿児島県だけで,使えない放棄農地が2.4万ヘクタールだそうですよ。

この藻の育成は,海のソバじゃないといけないような気がしますが,まあ,2万くらいならいけそうな感じです。

とはいえ,まあ,実用化できるのかよくわかりませんが,もし実用化されるとしたら,なんか,テロとか,イラク問題とか,日中の国境問題とか,とりあえず,どうでもよくなるのでしょうかね。あと,二酸化炭素問題もか。藻が二酸化炭素を吸収して重油になるわけで,排出率はゼロなのか。ともあれ,ガンバレ,筑波大学,と申したいところです。


なお,もう1つ,すげぇニュースがありまして,小社事ではありますが,

竹田伸也さんの

『認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル』

早くも増刷となりました!!
パチパチ!!

ふつうに刷ったのですが,予想以上の売れ行きで。

ま,いい本ですので,当然ですかね。パワーがあります。







→詳細

2010年12月6日月曜日

【復活】岡村隆史【職場復帰】

 
もう師走。早いもので,なんか,もう早い……早すぎ。


ナインティナインの岡村隆史が復帰した。
ガンだの,なんだの,といろんなうわさが飛び交ったが,結局,なんなのだろう。どうも,「うつ」というのか,こころの病系であることは確かなようである。

気になって,というわけではないが,いろいろと検索していたら,復帰後の深夜ラジオ番組(オールナイトニッポン,ですな)で,本人が詳しく喋っていた。

オールナイトニッポン 岡村隆史復活SP 1
http://www.youtube.com/watch?v=7o8DvTF048c

youtubeに全部で1~7まであった。2時間ほどの長さだが,興味深い話が続くので,飽かずに聞ける。まあ,芸人だしね。
こころの病の入院までの周囲および本人の葛藤と,入院している患者の気持ちなど,「へえ~,そういうもんなんだ」という感じである。「当事者もの」というべきだろうか。もちろん,芸人であるので,面白おかしく話しているが,本当につらかったようで,「地獄をみた」と何度も言っていた。

(youtube上から,いつなくなるかはわからないので,興味のある方はぜひお早めに。)

本日は肉体的労働的一日だったので全編聞いていたんですが,新型うつ,という感じではないなあ。古典的なうつのような感じもしますが,非定型精神病? いや,よくわかりません。素人が判断するわけにもいきませんし。ともあれ,お体のほう,ご自愛ください,という感じであります。

そういえば,先日,読んだ,

サイコバブル社会 ―膨張し融解する心の病― (tanQブックス)サイコバブル社会 ―膨張し融解する心の病― (tanQブックス)
林 公一

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は,すごく面白かった。

林先生は,2chで,なぜか有名で,メンタルヘルス系を思わせる発言をするひとに,よく「林先生のところへ行って来い」などと言うことがあります。


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こんな本も売れている様子。