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2010年3月31日水曜日

【恐縮です】素晴らしい感想書簡を転載してしまうことにしました

 
坂中正義先生というお方がおられる。九州・ロジァリアンの若手ホープといってもよいだろう。その坂中先生より,岡村達也先生にきた感想の書簡を,お二人のご厚意により,転載させていただく次第です。

もちろん,何の感想かといえば,



であります。

===

ご無沙汰しています。坂中です。
『カウンセリングのエチュード』、読ませていただきました。
わくわくしながら読んだのでこの1週間で読んでしまいました。
この感じは垣内出版版の『カウンセリングの条件』*を読んだ時以来かも知れません。

岡村先生のパートはすごくわかりやすかったです。でも緻密に論がすすんでいくのが、いつもながらすごいなあと感服し、また自分もまだまだ必要十分条件読み込めてないなあと反省したりもしました。

おもしろかったのは先生のパートを読んだ後、「クライアントさんの体験過程に近いところにいること」を意識しながら面接にのぞむとなんだかいつもとは違う少し力が抜けた感じでいられたり、相手の語りがずいぶん感じに近いものになったりしたことです。

また逐語の検討の視点もとても参考になりました。これは最近の教育上の関心の1つです。

これまで先生の書籍などを読む中で私の方で未消化なところもこの本で随分明確にすることができました。ウィスコンシンプロジェクト以降の「条件つきの関心」ということを「まあそういうこともあるよなあ」と何となく思っていたのですが、読了後はロジャースがこのことを具体的にどのようなことをさしていっているのか検討してみたくなりました(私は無条件性に関心があるからと思います)。

小林先生のパートは共感について少し違った側面から光を当てられた感じで新鮮でした。なんといっても醍醐味はロジャースの「あたかも...」を「感じ取っている自分自身の私的な世界を、あたかもクライエントの私的な世界であるかのようにすること」ととらえてみることで今までみえなかったことがみえてきたことだと思います。このように考えると私は共感という際にあまり自分の感じを活用してきてなかったなあと思えてきました。

残る問題は自分の私的な世界をクライエントの私的な世界であるかのようにするにはどのようにして可能になるのかということかなと思いました。
また私も無条件性にこだわるならば小林先生くらいこだわりたいなあと率直に思いました。

菅村先生のパートは応援された感じがしました。クライエント中心療法にもまだまだ可能性があると素直に思えました(けっして可能性がないといままで思っていたわけではありませんが:笑)。現象学や科学哲学などとても興味がありつつも読解力がないので、調査系の研究に流れていますが、文献を幅広く、また読み込んでいくことの醍醐味に触れた感じです。

どこもおもしろく読めたのですが、無条件性に関心があるからでしょう、やっぱりアタッチメントのことが印象に残っています。

ざっくりとした感想で恐縮ですが、色々刺激を受け勉強になりました。

==

*注:垣内出版版の『カウンセリングの条件』はすでに絶版となっているので,下記所収を参照されたい。

カウンセリングの条件―クライアント中心療法の立場からカウンセリングの条件―クライアント中心療法の立場から

日本評論社 2007-01
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これもまた,すばらしい本です。


それから,坂中先生自身,一押しの本もあげておきましょう。

ロジャース学派の現在 (現代のエスプリ別冊)ロジャース学派の現在 (現代のエスプリ別冊)

至文堂 2003-04
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村山正治先生のご編集の一冊。
面白そうです。

 

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