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2009年11月24日火曜日

自らの力のなさを嘆かざるをえないのですが

 
先日,「匿名さん」から,下記の記事:

がんに負けない心理学──そして、ジョウさんのこと
http://tomishobo.blogspot.com/2009/08/blog-post_24.html#comments

にコメントをいただきました。
以下,引用いたします。

==

 和田先生の本は出版早々に書店の本棚で偶然目にして読みました。私自身も、末期癌告知を受け、人生のロスタイムを生きている臨床心理士です。実際にこういう立場になると、ああなるほどという発見が続きます。
 同じ異界に住む同病者に不思議と出会うようになります。人間世界に仮の姿で過ごす超能力者集団のようです(笑)。そして自助グループではないですが、わかちあう機会が不思議と訪れます…。
 異界に住み始めて思うのは、自分の個人心理がどうのではなく、関係の中で生きている自分であるのだなあとしみじみ。

==

なんというか,どういう経緯で,こちらのページにきていただいたのか,わかりませんが,いや,ほんと,絶句せざるをえません。なんとコメントしたらいいのやら,というか,そもそも,言葉など不要なのかという気さえいたします。というか,自分の非力さを思うばかりです。

もし,匿名さんがこちらの記事も読まれ,その気になられたら……。短いものでいいです,何か文章を書かれたらどうか,と思います。何かを残すべきだというわけではなく,それが義務だというわけでもないですし,状況もいろいろとありましょうから,力強くオススメするわけではないのですが。。そもそも,どういう状況に匿名さんがおられるのかわかりません。ですが,編集者として,あるいは文章を読むのが好きな一個人として思うに,何か書いてみたらいかがでしょうか。
たとえば,匿名さんの今のご気分と,臨床心理について。ユーザーの立場から,臨床家の立場から,いろいろと思うところがおありかと思います。

……情けないですが,こんなことくらいしか思いつきません。
 

2009年11月18日水曜日

ぶどう狩り

 
我が家の台所は、東側にあり、夏、えらく暑くなる。朝の5時とかから日が差すので(しかし、11時には日が入らなくなる)、なんとか、遮光をしたいなあ、と考えていた。
で、2年前の梅雨の時期に、ぶどうを植えた。なぜ、ぶどうかと言えば、スタインベック

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は、まったく関係がなく、(面白いっすよ,でも)

・食べられるものがよい
・水をやるとか、肥料をまくとか手間がかからなそうなものがいい
・キュウリとか朝顔とか毎年植えるのはイヤ
・日当たりがさして悪くなくとも、強そうなものがよい
・秋になったら、葉が落ちるものがいい。というのも、涼しい季節は日が入るほうがありがたいから

などのまったく非園芸的な理由から、ブドウをセレクトした。以前、沢登りで、丹沢の山中の、道なき道というか,道じゃないところを歩いていたとき、暗い森のなかでブドウがなっていたのを見て、「へえ、こんな暗いところでもなるんだ」と思い、食べたら、とてもうまかったからである。
たぶん、丹沢のブドウは、山葡萄という種類だろうが、その苗は近所では売っていなかったので、とりあえず、日本在来種である甲州種のブドウを植えた。2年前の梅雨の季節である。

その年は、「まあまあ」遮光カーテンとなったくらいだったが、翌年──つまり、去年は、完全に「緑のカーテン」となった。

ぶどうはツタである。ものすごい繁殖力である。あちこちにからむ。2日置いておいた自転車にからんでいたのには、笑ったというか、戦慄すら覚えた。庭に猛獣を放ってしまったのかとも思う。
とはいえ、伸びた枝を2週間に一度くらい、適当に切れば済む。あと、自転車をそばに置かなければよいわけですね。
肥料はふだんは不要。年に1度(!)冬の間に根元に肥料をやればよい、というくらいらしく。土壌は痩せているところが好きらしく、枝を切る以外は、本当に何の必要もないのである。
水やりも不要。雨だけで十分である。乾いているくらいのほうがいいらしい。
カーテン効果はすばらしく、台所はさほど暑くなくなり、ついでに面倒だった雑草とりも必要がなくなった。地面が完全な日影になり、ドクダミすら生えないのである。すげえ~。

そして実もなった。去年は、大きいお鍋に一杯、ぶどうができた。種はあるが、ちゃんと美味しいぶどうである。食べきれず、数房を干しブドウにして、仕事をしながらパクパク食べた。

そして今年は……バケツに2杯くらいのブドウができた。

幅2メートル、幅50センチくらいの土地で、樹高はせいぜい2メートルである。

で、バケツに2杯。。。

たわわに実るとはこのことを言うのだろうというくらい、たわわになった。

まあ、バケツに2杯というと、食べても食べてもなくならない量であることは確かで、とにかく、ものすごい量である。取り切れなかった分もあるので、実際にはもっと多いかもしれない。2.5杯くらいは楽に取れたかもしれない。
けっこう食べて、スーパーの袋に一杯を知り合いにあげて、まだ残っている。いまは、新聞紙2枚分の敷地いっぱいに干され、干しブドウとなる手前というところ。

こないだ、ヤケに子どもが静かだなと思っていたら、干しかけブドウをバクバク食っていた。皮ごとというか、種ごとである。
まだ1歳なので、オムツをつけているのだが、皮ごと出てきてたりする。甘みが凝縮されるので美味しいのだろうか。

不思議とブドウの実は腐らない。冷蔵庫で1カ月以上,持つ。ブドウには酵母がついていて(イースト菌ですね)、それが他の菌をよせつけず、腐敗を防いでいるらしい。

つくづく頑強な奴である。ブドウのような人間に私はなりたいとすら思う。

いや、ほんと、グリーンカーテンにはブドウがオススメです。ニガウリなんかよりもずっといいです。ベランダで植木鉢でもできそうだし、手間いらず。身もうまい。マスカットなんかでも楽にできるようだ。近所の家で,これまた,大量になっていて放置されているものがある。

ま,それほど余っているブドウがあれば、やはり最終的には、アレにすべきかとも悩まないでもない。発酵すべき菌はついているわけで、ジュースにして、適温に放っておけば、アレができるわけですわな。
やはり、アレか~。


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2009年11月17日火曜日

和田先生が亡くなったそうです。

 
土曜日に野坂先生よりメールをいただいて、和田憲明先生の訃報を知った。
和田先生のことは、2カ月ほど前、ブログに書いた。

http://tomishobo.blogspot.com/2009/08/blog-post_24.html

2カ月。壮絶に戦っておられたのだろう。

いま、とあるチームの、がん治療と緩和治療の本を作っている。この本に関する仕事をするたびに、和田先生のことを思い出し、そして、やはりがんで死んだ母親のことを思い出す。あるいは、ご本人を見たこともないが、よくお会いする先生の、早くに亡くなったという旦那様のことや、壮絶ながんのケースのことを。

和田先生は笑顔のうまい人であったなあ、とふと思う。
笑顔の作り方のうまい下手は、きっと、臨床の腕とかかわりがあるのだろう。自然に笑うテクがあるのだ。ワハハと笑う感じだった。

手元にある「がんに負けない心理学」の写真を見ると、透徹したような、悟ったような、穏やかな笑顔がある。「ワハハ」じゃない、なんか、そんな笑顔だ。

ご冥福をお祈りいたします。
 

2009年11月10日火曜日

【ヒデキじゃないけど】乾先生の本がとても売れたそうで【感激(古ッ)】

 
昔日というほどのことはないですが、まさに、過日なる、日本精神分析学会総会in大阪で、小社の乾先生の新刊『思春期・青年期の精神分析的アプローチ』がとても売れたそうです!



やった。
お買い上げの皆さん、誠にありがとうございます。


詳細な部数については秘匿することにしても,これはけっこうな部数でありまして、本当に感激。そして、びっくりしています。2日目にして新元社さんにお預けしておりました本がなくなりまして、急遽発送までいたしました。たいてい,こういう部数は当たることが多いのですが、完全に外れました。嬉しい誤算です。いや、本当にびっくり。

なにゆえ、仰天しているかというと、精神分析学会では、MDの本は売れても、CPの本は売れないというマコトシヤカナ伝説があるのですね。
ところが、売れた。予想以上に売れた。
もちろん、乾先生の本に勝算はありました。乾吉佑という名。業績。論文の面白さ。思春期・青年期という年代の面白さ。その年代の精神分析理論とのマッチングのよさ。これらのニーズの高さ。これは「売れる」とは考えており、それゆえ出版させていただいたのですが、書店さんにおいて、売れるだろう気分であり、マコトシヤカナ伝説と経験からすると、学会ではさほどではないかな、と考えておりました。とはいえ,数十冊,送ったんですがね。

これだけ売れたのは、乾先生が学会賞を受賞されるので、というのもあるのでしょうが、最初に送った部数は、受賞講演前に売り切れたそうで、うーむ、時代が変わったなあと、思う次第であります。
CPが力をつけてきたというわけでも、MDの衰退というわけでもなく、単に「面白そうなものは面白そうだから買う」ということなのでしょう。何にせよ,時代は個々の力にあるのでしょう。
 

2009年11月6日金曜日

【学会賞】乾先生の本が出来てきた【受賞なり】

 
今日からになるのか,大阪で日本精神分析学会総会が開催されています。

残念ながら,遠見書房は展示販売をいたしませんが,本は,新元社(創元社)さんにお預けしました。
『思春期・青年期の精神分析的アプローチ』でございます
↓↓↓



(昨日,製本からあがり,出来てきました!)

分析学会に参加される方は,ぜひ,手にとってご覧くださいませ。

なお,この本の著者 乾吉佑先生は,栄えある日本精神分析学会学会賞(古沢賞)を受賞されるそうです。おめでとうございます!
受賞講演は,学会最終日だそうです。


*予約注文いただいた方には,すでに発送しました。数日で届くものと思われます。もし,1週間程度たっても届かないという方がおられましたら,遠見書房までご連絡ください。
 

2009年11月4日水曜日

全集刊行について思う

 
過日,某紙にて,下記のようなニュースを読む。

小田実全集、初の電子出版で=来春から刊行-講談社


10月30日2時32分配信 時事通信
 講談社は、2007年に死去した作家小田実さんの全集を電子出版で来年4月から刊行する。同社によると、電子出版による作家の個人全集は初の試みという。…(略)…約4年かけて、巻数は85~90巻程度になる見込み。


電子媒体であるのは面白いな~と思う反面,電子媒体であるのはしかたがないのかな~とも思う。

いくらになるんだ?という気がするところもあり,紙媒体ならば,1巻3,000円というところか。90巻っていうと,金にせよ,場所にせよ,確かに大変ね,とも思う。

電子媒体ならば,1巻あたり,どうせなら,1,000円くらいにしてもらって,まとめるならば45,000円とかいうのはどうか,とも思う。

というか,電子媒体ならば,巻数なんか要らないじゃん,とも思う。全部1巻にしたらどうなんですかね。25031頁め,なんていいじゃないですか。pp.25010-25015なんて,引用のとき,誤植か,とか,思いますし。

編集者としては,いろいろと作業を行った挙句,紙だったら,90巻なんて並ぶと,感無量があるわけですが,CD-ROMだと,ちょっとね,寂しい肝。

などと思う。

しかし,一番の心配は,図書館とか,どうするんだろ…。全集商売は,やはり,図書館さんが一番の売り込み先であります。
日本に図書館は,公立と大学図書館をあわせると4,200カ所あるらしいのですが,小田実さんでしたら,さすがに90巻はあれにしろ,20巻程度だったら,5割納入もいけそうな気も。まもなく図書館に入り浸ることになるであろう団塊の方々のための書き手,という感じがするし。

けれど,CDやDVDだと,どうなるんですかね? 貸すことはすでに音楽CDなどでもやっていますし可能でしょうけれど,コピー機能なんて,どうするんでしょうか。ドラックアンドドロップで数万円が数分でコピー完了というのも,ねえ,どうするんでしょうか。

こういうの,広がるのですかね。
面白いですよね。儲かるのか,よくわかりませんが。コンテンツをいろいろと持っている会社は,生き残れるんでしょうねえ。

電子媒体だったら,別に,「文字」や「画像」にこだわることもないわけで,文字+音楽,なんてね,面白いかもしれません。北山修先生などの電子版全集なんて,全歌つきだったら,面白いかもしれません。
描画とかも,カラーでもいけますし。

とはいえ,何(ハード)で読むべきなのか。やはり,これが問題でありますね。iPodで読むようにレイアウトするのと,PCで読むようにレイアウトとするのと,やはり違うでしょうし。「縦書き」か,という問題もあるでしょうし。90巻も出すとなると,5,6年はかかるでしょうし,そうなると,ハードの質が変わってきそうですね。。それも困りそう。

ま,いろいろとやってみるしかないのでしょう。完成はまだ先だ。

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