遠見書房のメルマガ

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2009年8月26日水曜日

夏も終わりそうで

 
今週末の28日~30日に法政大町田キャンパスで行われる「日本人間性心理学会」にて,遠見書房が作っております,『子どもの心と学校臨床』誌の展示販売を行います。
とはいえ,小社が直接乗り込むわけではありません。老舗・岩崎学術出版社さんに預かっていただいております。

多少割引になるかもしれませんので,ぜひ,ご高覧いただければ,と存じます。

よろしくお願いいたします。

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一昨日、東京で、少なくとも東京の西部では、驟雨が降った。夕立だ。調布あたりでは17時くらいに、一昨日は新宿で飲んでいたが、21時すぎくらいに降ったらしい(地下の店にいてわからなかった)。夕立(夜立?)は、夏と秋との小競り合いだと昔、聞いたことがある。雨が降ったということは、秋がひとまず勝利を収めたということだ。夕立らしい夕立はこの夏初めてなので、これからは秋空が徐々に広がっていくのだろう。今日なんかはホントに涼しい。

遠見書房の〆日は、毎月20日であり、学会の展示販売などもあったので、いろいろな支払いを一昨日行った。経理担当者でもあるので(まあ、すべて担当者なのだが)、〆があり、支払いを終えると、何となく、その月が終わったかのような気分になる。

最初の本(「カルトからの脱会と回復のための手引き」)が出て、ようやくその入金があったのは今月のことだ。本の入金は発刊から半年くらい先なのだ。それなりにまとまった額が入金されたので、ようやく自分に給料らしきものが出せそうで安堵している。給料といってもコンビニのバイトよりも多少いいというくらいだが、本を作り続ければ、これからも入金は増えるだろうし、最初の半年が辛かろうと思っていたので、最初の山場を越えられたのに、一人歓喜して、上機嫌だったりする。これもみな、読者の皆様、書店の皆様、そして執筆者の皆様のおかげである。ありがとうございます。

まだ終わっていないけれど8月は忙しかった。雑誌を出したというのもあるし、学会の展示販売などもしてみたり、その他企画もいろいろと頂戴したり、山に登ったり、いろいろとあった。
経営的に大きいのが、新しい取次店さんと契約をしたことだ。全国津々浦々の書店さんにまで本を置くような出版社は目指していないので、極太のロジスティックは最初から求めていなかったのだが、いまの取次店さんで不満に感じ始めていたのが、返品が基本的に不能ということだった。書店さんにある本のほとんどは、書店さんのものではなく、まだ出版社のものである。書店さんはそれを預かって販売している──というのが日本の書店ビジネスなのだが、そのお陰でマンガ本を山のように積め、販売できるし、売れなさそうな専門書も仕入れることができる。
しかし返品不可というと、「買取」ということになり、それは大きなリスクになる。5冊置きたいものでも、リクスを考えると、3冊でいいや、ということになる。もちろん、それはデメリットだけではない。出版社にとっても返品不可はメリットがある。まったく売れない本を10冊も、20冊も注文されたら、当然、そのままで帰ってきてしまうし、多くの書店さんに出荷する必要もあり、刷り部数が増えてしまう。だったら、買い取ってもらえれば、確実に売れる部数だけ作ればいいし、小部数の出版にとってはメリットになる。
けれど、買取という条件を嫌がり、そもそも仕入れてくれない書店さんも多い。それなりに大きい書店さんでもそうだ。なので、次の経営的なステップとして新たな取次店さんと契約をして、返品可能な流通経路のパターンを増やしておきたいと思っていたのだった。

その矢先に思いがけないところからお話を頂戴して、JRCさんという取次と契約をした。返品可能なルートである。契約しているもう一つの取次・地方小さんとうまく使い分けて行きたいなあ、と思っている。

うまーく、二つの取次さんを使い分けられれば、それだけで売り上げは3割くらいは増えるハズである。ま、これを取らぬ狸のなんとやらというのかもしれないが。

 

2009年8月24日月曜日

がんに負けない心理学──そして、ジョウさんのこと

 
和田憲明先生の「がんに負けない心理学」の本をいただいたのは、一月ほど前のことである。和田先生ご本人からも「軽~く」ご紹介をいただいていたのだが、本をいただいたのは、和田先生のその本の担当編集者の奥様である、ある臨床心理の方であった。いろいろなツテが絡み合い、ともあれ、その本が送られてきたのである。

和田憲明先生のことは、知っていた。知っていた──だけではなく、一度、ご一緒に飲んだこともある。前回紹介した東豊先生の『家族療法のヒント』に書いていただき、その出版記念飲み会というか、そういう席上で、お会いしたのである。
そもそも、この本は、牧原浩先生という家族療法というべきか、統合失調症論というべきか、の、天才的な精神科医がいて、その薫陶を受けてきた方々が、牧原先生のために書いたものである。牧原先生の建てられた理想的な精神科病院ともいえる小郡まきはら病院で働いたことのあるスタッフが、執筆者の多くを占めており、東豊先生はもちろんそうであるが、和田先生もそこのスタッフであった。
和田先生は若々しく元気な人であった。C調というと語弊があるかもしれないが、茶目っ気で、愛嬌のある、だれからも好かれそうな、そんな方であった。実際にお会いする前も、他の本でご一緒したことがあり、牧原先生のための本においても電話などで打ち合わせもしたので、初対面という感じはなかったのかもしれないが(私は学会上で見かけたことがあった)、初めて会う私にも、ずいぶん前からの知己であったかのように接してくれた。

その和田先生ががんにかかった、しかもステージⅣで、かなり状態が悪い、そんな状況で、がんと臨床心理学の本を書いた──という話を聞いたのは、本をもらう1週間ほど前のことだった。
私は愕然とした。元気そうな本の紹介メールもいただいたし,本の企画をもいただいていたし,何かいろいろと気遣っていただいたメールをもらったばかりだったからだ。そして,和田先生とがんというのがなかなか結びつかなかったというのもある。がん性格というものがあるそうだが,それとは遠いような,鮮やかな軽さが和田先生にはあった。
本をいただき、本のカバーのそでについていた著者近影を見て、またもや、愕然とした。愛嬌のある笑顔はそのままだったが、抗がん剤の影響なのか、ずいぶんと老け込んでおられたように見えた。

これが、その本である。



この本は、ある日突然、がんを──しかも、ステージⅣという診断を受けた臨床心理士が、その心の回復過程と、いかにがんに対してポジティヴな視点を作っていくか、ということを、とてもわかりやすく、一般の方も読みよいように書かれた本である。
回復といえども,まだどういう状況はわからないが,がんと戦う,明るくも,壮絶な記録としても,とても読み応えのあるものだ。

そして,和田先生は,まだがんと戦っておられる。


ぜひ、ご興味のある方は……

といって、ふつうではここで、アマゾンへのリンクをつけるところだが、今回はそんなことはしません。

実は、小社は、この本を現在、20数冊、仕入れました。
和田先生の周辺の方達が、草の根的に、この本を広めたいと活動をしているのですが、私もこの活動のお手伝いをすることにしました。

この本、遠見書房で売ります。
ぜひ、買ってください。

遠見書房では、著者割引で本書を購入しました。この価格に、送料と郵便振替手数料を加えさせてもらって、

1,300円(税込)

で販売しております。

アマゾンですと、この本は1200円(税込1260円)ですから、送料無料にはなりませんから、ちょっとお得かと思います。

もし、一緒に遠見書房の本をご注文いただければ、送料と振替手数料は不要で、

1080円!

で、販売いたします。
別に儲けなくてもいいので。

部数としては、手元にいくらもないですが、ぜひ、ご注文いただけると、ありがたいです。

ご注文は、

tomi@tomishobo.com

へ。

お名前
ご住所
お電話番号
と、「和田先生の本、希望」と書いて、お送りください。
電話やFAXでも承っております。


こうした本は長いと読むのに疲れてしまうのでしょうが(とくに患者さん本人はそうかと思います)、私は1時間もかからず読めました。
ポジティブシンキングを生む心理テクニック的なことも書いてありますが、当事者じゃないとわからないことも踏まえていますので、とても役立ちそうです。
病棟や待合室に、さらりと1冊置いてあると、嬉しいかもしれません。

===

昨日、実は、以前勤めていた会社の上司だった、城市さんの葬式に行ってきた。享年55歳。がんだったらしい。ものすごい酒飲みで、僕がその会社にいたころ、15年ほど前には、一日で一升くらい飲んでいた。朝はたいてい酒臭かった。タバコもがんがん吸っていた。ハイライトだったと思う。城市さんは、皆に好かれていたのかどうなのかわからないが、僕は好きだった。一緒に何度酒を飲んだろう。会社にいた3年弱の間に,100回とか、そんな数字になりそうだ。それでいて、僕は一銭も払ったことはなかったように思う。
僕はジョウさんと呼んでいた。仲のいい人はそう呼んでいたように思う。話の通りがよくて、酒に強くて、いろんなところにコネがあって、新聞記者らしい人だった。
そう、僕は会社を辞めるとき、退職届をこのジョウさんに渡したのだった。「まあ、わかるよ」と言い、「でも、預かっておくだけだからな、気が変わったら言ってくれ」と言った。僕の気は変わらず、会社を辞め、新聞記者も辞め、出版社に入り,編集者になった。

ジョウさんは数年前にすでに余命数カ月と宣告を受けていた。それでも、つい最近までタバコは吸っていたという。たぶん、酒も飲んでいただろう。死ぬ前日までふつうに働いていた。夜中に咳が苦しくて自分で救急車を呼んで、通っていた病院に行ったのだそうだ。そして、そのまま死んだんだそうだ。がんの疼痛などどうしていたのだろう。それにしても、壮絶だと思う。ジョウさんらしいといえば、それらしい。かっこいいぜ、ジョウさん。でも早死にすぎるよ。
 

2009年8月21日金曜日

野坂達志先生の本が出ている

 
野坂達志というひとをご存知だろうか。知っている人は知っている、知らない人は知らないとは思うが(ま、だれだってそうだ)、統合失調症者への援助を中心に行っているPSWである。

「統合失調症者とのつきあい方」

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という本がある。
野坂さんの初めての本である。とてもいい本だ。手伝った本人が言うのだから、信用ならないかもしれないけれど、統合失調症の方々へのソーシャルワークについて、どういう手立てが有効かということをじっくりと考えている。ブリーフセラピーや家族療法の知見もいかしており、よみやすい、そしてわかりやすく、すぐにでも臨床に役立てることができる。そんなある種の臨床書の理想のような本である。

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という本も作った。
共編者の大西先生は、岡山大学の精神科医で、これまた面白い方であり、この本のなかに入っている論文は、ぜひ、読んでいただきたいものである。そのタイトルも、「病棟においての医師の心得」という、この堅物タイトルからは想像できない、すげぇーノウハウがつまったものだが、、、ま、今は野坂さんの話である。

野坂さんは、所属されている病院や地域などではどうなのか知らないが、学界的には、あまり──というよりも、ほとんど知られていない人物だった。それが1冊本を作った。「統合失調症者とのつきあい方」である。一生懸命書いたのだ。企画自体が面白かったので、出版社がのり、担当がついたのはラッキーだったと思う。企画会議では当落線上にあったは本人には内緒である。本人が無名だからだ。
それが、すごい速さで重版をした。確か、一月かそんなもので、増刷が決定した記憶がある(印刷屋さんが間違えて、刷り部数がふだんの3分の2しか刷っていなかったのも大きいが)。そして、今も増刷を続けている。とてもよく売れている。
精神分裂病が「統合失調症」と名を変えた辺りだったので、潮もよかったのだろう。出たころは、「統合失調症」の名を冠した本はあまり多くなかった。

とはいえ、現在も売れているのは、その理由にはならないが。

つまり、とても有名だからといって、本が売れるわけではない、ということである。無名の方でもいい本はできる。本に力があれば、それが叶うのかもしれない。とはいえ、そのパッケージングをどうするかというのも、こちらの編集サイドの腕の見せ所であるのだが。

野坂先生は、ちょくちょく雑誌論文を依頼されるらしいが、その辺りをまとめた本もこないだ出された。
これもご恵送いただいたが、おもろい本である。書き下ろしもだいぶ入っているので、ぜひ、ご購入ください。タメになります。

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ちなみにいえば、野坂さんは、東豊先生の弟子である。ゆえに、この本にも書いておられます。

家族療法のヒント家族療法のヒント
東 豊

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野坂さんは相変わらず、病院のPSWを続けている。

 

2009年8月19日水曜日

【ただの日記で】八ヶ岳・治郎兵衛沢(シラナギ沢)を遡行する【すいません】

 
8月某日。八ヶ岳・治郎兵衛沢(シラナギ沢)を遡行した。北八ヶ岳,天狗岳と根石岳の鞍部を源流とする沢である。ネットの情報はあまりないので,ここに掲げることにする。
(興味のない方はガン無視してください。すいません。)

8時 桜平駐車場からスタート。お盆の最中ということもあって,駐車場は満杯。別荘地より先の林道は,乗用車でも上がれないことはないが,けっこう底を擦った。車,痛そう。
駐車場より3分も登山道を歩けば,治郎兵衛沢の出会い。夏沢との二股になる。ハイカーも多いのでそそくさと入渓。治郎兵衛とは,盗伐に入ったものの,見つけられ,逃げ,沢に落ちて死んだ人のことらしい。南無。
出会いの水量は豊富で冷たい。とはいえ,ひざより上につかることはない。水は若干酸っぱい気がする。
人工堰を2つ越え,その間,滝場らしい滝場はない。大半は河原歩き。右手からは大きく崩落があり,何となく硫黄臭い気もするが,順調に行く。
途中でいくつか支流を分けるが,太いほうを選んでゆけば悩むところはない。両岸は切り立っていて,ゴルジェ状であるが,日がさしている沢なので,明るく,険悪さはない。左からくる支流の水は甘かったので補給しておく。
右からくる支流にいい滝があったり,滑り台状のナメがあるも,難なく通過。9時ごろ,治郎兵衛沢の最大にして,ほぼ唯一の滝に出会う。



けっこうカッコイイ。右の岩の崩壊具合が「鬼」みたいでイカす。滝の周辺はコロッセオ(行ったことないけど)のように広く,いい雰囲気だ。
滝は見た目ほど急ではないので,落ち口手前まで行けば,何とか越えられそうだが,右から巻くことにする。写真にはないが,この滝の右にも,ザレ気味の枯れ滝があり,ツノ状の岩の裏側に回りこめそう。ザイルを出すほどではないが,慎重に登っていき,ツノの裏側へ。滝の落ち口の20メートルほど上に出る。沢に戻るには,あてになるような木があまり生えていないので,鹿の踏み跡?(カモシカ?)を慎重に下る。

滝を越えたので,小休止を入れ,再び,登る。ガレがなくなったためか,穏やかな雰囲気になり,奥多摩あたりの沢のようで,コケむしている。水も甘くなっていた。ところが,のんびり登っていたら,なんと,水枯れ。
引き返すわけにもいかないので,枯れた沢を詰める。高山で,沢地であり,雪もそこそこ降る地域だからか,藪こぎもなく,草原上というか,ガレ場というか,その中間くらいの感じで,詰めていく。稜線を行く登山者が見えてくる辺りまであがると,高山植物のお花畑になっていた。踏まないように歩きながら,最後は謝りながらハイマツを15メートルほど漕ぎ,根石岳と天狗岳の鞍部に出た。登山道に出ると,霧がかかっていて,なかなかいい雰囲気であった。



ゆっくり目だったが,稜線に出たのは,10時半くらいだった。早い人なら2時間もかからず出そうだ。沢登りとしては,あまり遡行価値はないところでしょうか……。水が早々になくなるのはちょっとなあ,寂しい。

帰りは登山道を行き,根石岳を越え,オーレン小屋で昼飯などを食べ,駐車場に1時半に戻った。

*   *

ついでにヘッダーの写真も変えました。

子どもの絵日記よりもつまらない内容ですいません。
 

2009年8月18日火曜日

【急遽参戦?決定】ブリーフサイコセラピー学会で展示販売します、他【業務報告多数】

 
業務報告1

今週20日、21日、22日に開催される日本ブリーフサイコセラピー学会(於:青山学院大学)に展示販売をすることになりました。
遠見書房初の、展示販売となります。

4点しかない、しかも、ブリーフの本なんて1冊もないじゃん、という状況で、なぜ、展示販売をするのか……これまた自分でもナゾなのですが、いやしかし、ブリーフ学会ならびに会員の皆様には以前よりお世話になっておりまして、この展示販売にてご挨拶しておきたかった、というような潮でもあります。

ともあれ、ご参加の皆様、よろしくお願いいたします。
ちょうど、そのとき、渋谷あたりに行くわ、という方、ぜひ、当日参加でどうぞ。ブリーフ学会は熱気があって、なかなか面白いですよ、会員も多士済々でありますし。


業務報告2

なお、9月の20日前後に行われる、日本心理臨床学会ですが、こちらにも展示販売をいたしますので、ぜひ、何卒、よろしくでございます。
(申し込みが遅すぎて、プログラムに載っていませんが、たぶん展示会場の隅っこのほうにいると思いますので、探してみてください。。)

荷馬車に乗せられた子牛のごとき、虚ろな目をしていましたら、ぜひ、やさしくお声かけ下さいますようお願いいたします。

 

2009年8月10日月曜日

【深奥なる】山中康裕先生の本を出します【心理臨床のために】

 
山中先生と初めてお会いしたのは、十数年前の、日本芸術療法学会の会場でした。お会いしに、宇都宮で行われていたその会までお伺いしたのです。お昼休みに会おう、というような約束をしていたのだが、私は山中先生の顔がよくわからず、どの方かな~と緊張していたのを思い出します。

爾来、なぜか山中先生は私のことを気に入ってくださり、いろいろと叱咤激励などもいただきつつ、時折うまい酒なども飲みつつ、現在に至っております。

さて、山中先生といえば、京都大学名誉教授であり,心理療法家であり,精神科医であり,現在は浜松大学の教授をなさっておられます。怖い人、というイメージがあるようですが、本来は気さくな方です。心理臨床学や精神医学に対する並々ならぬ情熱が、そうさせているのでしょう。

以前より,一部にはアナウンスをしておりましたが,山中先生の本を出すことになりました。ようやく、タイトルなど決まりました。

タイトルは,
「深奥なる心理臨床のために――事例検討とスーパーヴィジョン」

本体価格 3,200円+税
四六版で,300頁を超える大著です。


表紙など決定次第、またご連絡させていただきます。

さて、内容ですが、簡単に言ってしまえば、多くの事例検討論文にコメントを寄せてきた山中先生の,そのコメントを集めたもの,です。それだけではわかりにくいので,コメントの前に,それぞれの事例論文を圧縮したものを,その論文執筆者の方々に(お忙しい方のところは京都大学医学部の岸本寛史先生が)まとめていただいたものです。
「なんだそれ???」というような声が聞こえそうな気もしますが,私も正直のところ企画を聞いた段階では,そう思いました。ところが,岸本先生が集めてくださったコメントを実際に読んでみますと,これがとても面白い。
というのも,この事例検討論文(というよりも,事例研究の論文というべきでしょう)は,多くが大学の紀要に掲載されたもので,やはり若い方,初心の方が取り組まれたケースが多い。最初の事例,いわゆるイニシャルケースだったり,あるいは2,3ケース目,というような事例だったりします。なので,一所懸命な取り組みのなか,とてもすばらしい展開になっているものもあれば,反面,まったく大変な展開になっているものもあります。
そういったケースに,見立ての力というか,臨床経験の力というか,そういうものを力強く持った山中先生がコメントを,教育的な面からも,臨床的な面からも書くのですから,含蓄もあるし、的確ですし、「ほほう」と唸ってしまったりします。日々の臨床のヒントにもなりますし,とても腑に落ちる。山中先生は,ユング派の大家ですが,そういう偏りはほとんどなく(ほかの本もあまりありませんが),あくまでもクライエントや患者を中心に,彼らをいかに治すか,セラピストはいかに応対すべきかということを中心にコメントがなされています。本来的な意味での「クライエント・センタード」な臨床コメントが展開されています。ある部分で言えば,これは心理臨床の「真髄」を描いたものと言えるものです。

それから、もう一つ、「スーパーヴィジョン」に関して、山中先生のSVを実際に受けた方が、その逐語を起こして、2時間分を全文掲載するという、たぶん、本邦初(?)の試みもいたしました。
これも、超絶興味深い内容です。

目次・詳しい内容などは,小社HPをご覧ください。
http://tomishobo.com/catalog/ca05.html

9月の半ばくらいの発刊でしょうか。
いま、最終調整を一所懸命しているところであります。
  

2009年8月5日水曜日

【出来】子どもの心と学校臨床【上出来】

 
昨日,ようやく『子どもの心と学校臨床』の創刊号があがってまいりました!




いやいや,とてもとても感無量であります。

昨日,早朝――というほどでもないですが,9時府中を出発し,印刷屋さんに参りまして,書店さん向けの分を納品。残部を都下某所の倉庫に置き,事務所内に数百部の在庫を保有――作業を終えました。もちろん,肉体労働であります。

今回,自分をほめてやりたいのは,紙が軽いのを選んだ点でありますね。
これで,けっこう楽になりますた。

昨日,ご予約いただいた方への発送作業も終えており,一部発送を始めました。数日中にはお手元に届くもの,と思われます。


当然のごとく,これからも益々絶賛発売中でありますので,ぜひ,お買い求めいただきたく,よろしくお願いしたい次第でございます。

申し込み,ご質問ございましたら,お気軽に,遠見書房tomi@tomishobo.comまでご連絡くださいませ。