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2009年7月10日金曜日

子どもに薬を飲ませる

 
子どもが風邪を引いたので、お医者に行ったら、水薬をもらった。最初の一杯は、なんだかわからず飲んだのだが、口に合わなかったのか、次からは飲もうとはしない。でも、咳は続いているし、元気もないし、とお茶やジュースにまぜて飲ませようと試みるが、無残な結果に終わる。
となると最後の手段は、無理矢理に飲ませることだ。スポイトがある。こういうときのために買ったのを思い出す。それに水薬を吸い込ませ、子どもを抱き寄せる。子どもは悪い予感がしたのか早くも暴れる。喋れれば罵詈雑言を吐きそうなところだが、まだ言葉は出ず、泣くだけだ。
口をこじ開け、スポイトをねじ込む。ごめんなあ、などと言ってみるが、通じるわけもない。体を反転させたり、ねじってみたり、口をぎゅうっと結んでみたりし、子どもは反抗を続ける。これ飲まないとよくならないから、と言っても通じない。結局、力づくだ。唇さえ開いてしまえば、前歯しかまだないので、隙間はたっぷりとある。スポイトの先を刺し込み、水薬を入れる。敵もさるもの。全てを吐き出す。こちらはそれを手のひらで押さえる。それでも半分くらいはこぼれてしまう。
スポイトの薬が9割ほど入った時点で、私はこれ以上飲ませることを諦めた。子はギャン泣きをしている。なぜこんな目に合うのだと大泣きをしている。加害者から逃げようと、私のひざから逃げ出そうとし、ひざから降りた後、子は庇護を求めて私の膝小僧の間に顔を埋める。
泣き続ける小さな頭を撫でてやりながら、子どもは無力だとつくづく思う。

当然、連想するのは、虐待についてである。
いつか坂井聖二先生らの本を紹介しようと思っていたら、昨日お会いした先生から、坂井先生がこの3月に亡くなっていたとを伺い、吃驚した。雑誌に論文を書いていただくのでやりとりをしただけなのだが、とてもいい論文だったことを思い出す。

子ども虐待の臨床―医学的診断と対応子ども虐待の臨床―医学的診断と対応
坂井 聖二 奥山 真紀子 井上 登生

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とてもいい本でした。ご冥福をお祈りします。
 

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