遠見書房のメルマガ

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2009年5月19日火曜日

奇遇・縁起・共時性

 
過日。
とある児童系精神科医の方と一献傾けた。本の企画会議と称する飲み会というか、酒の入る打ち合わせというか。わざわざ関西方面からおいでくださった御仁である。ちびちびと越乃寒梅→神亀→磯自慢なんていうよくわからない選択をしながら、うだうだと話す。酒もしっかり入り、打ち合わせはひと段落し、初対面の方であったが打ち解け始め(というか、お互いに15分くらいでここ4年はつきあっているかのような雰囲気をかもすタイプ)、同世代ということもあってか、いろいろとぶっちゃけた話をしたり、聞いたりした。
その先生は、関西の某都市でクリニックを開業されているのだが、けっこう手広くやられている。まだ若いのにたいしたもんだなあ、などと感心仕切り。でも、一応、互いに経営者ということで(私のほうは、一人ですが)いろいろと経営について語ったりした。私のほうも、それなりの経営方針というか、運営方針というか、夢想というか、妄想というか、あるので(あるのです!)そんなのを酔いの力を借りて開陳したりする。
で、何とも、先生の話が、なんか、いま読んでいた本に似ていたのですね。

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こんな本なんですが……。

哀川翔の伝記というか、語りをライターが起こしたものなんですが、なんかこの本、妙に面白く読んでいて。
けっこう感銘なんかも受けてしまうのですが、哀川翔は、「無敵をめざす」なんていうことを言うんですね。なんかもう、暴走族みたいなことを言って、とまゆをしかめる方も多かろうと思いますが、そうじゃなくて、「敵のいないところに行くのが一番じゃん。それが俺の無敵」なんていう。
で、まあ、私が遠見書房主として目指しているのも、結局のところ、この無敵であり、私が聞いている限りにおいては、この児童系精神科医の先生も、同様、無敵を目指している。そんな気がしたわけです。
で、そう言ったわけです。

すると、その先生、自らのバックに手を伸ばして、一冊の本を取り出すわけです。

ジャ~ン!

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あ、哀川翔祭り? きているの?、哀川翔? いま、すごい人口密度になっているぞ、哀川翔本ファンが……。日本でここだけ? この神田の居酒屋だけ? それとも、どっか他の地域でもそうなの?

などと自分のなかで言葉をめぐらせたわけですが、お互いに「奇遇っすねえ」などと言い。
奇遇なのか、縁起なのか、共時性なのか。

うーむ。
すげえ。

もし、これが合コンか何かだったら、完璧に恋に落ちちゃうシチュエーションですね。ま、哀川翔の本、読んでいる女の子はちょっとあれですが……。
とはいえ、残念なことに、どちらも、そろそろ40になろうかというオッサン(s)であり……。ロマンスなし。

まあ、でも、きっとこの本、面白いものになると思います。息が合うはずなのです。まあ、恋愛関係とまでは行きませんが、出版する関係も、それなりに濃い関係になりますからね、そこで気が合う合わないはかなりの問題です。
そこに哀川翔ですよ。

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(つい、借りてしまった…。哀川翔の日本アカデミー賞受賞作)


いや、実は、「哀川翔」という次元で揃ったことはありませんが(さすがにすげえと思う)、もうちょっとアリガチな本で揃うことはときどきあります。そういうとき、「俺、きている」と、なんとも、オカルトチックな気分になるのですが、ま、一年に100冊くらい本読んで、それを20年くらい続けているんで、たいてい「当たる」かもしれませんが。

初めてか、あるいは二度目くらいの書店営業に伺い、ある書店さん(日本で一、二を争う)の心理の担当の方にお会いした時、たまたま私が持っていた本(買おうと思って、持っていた)のをその方が見つけ、
「あ、それ、私、昨日読みましたよ」
なんておっしゃったこともありました。

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ま、珍しい選書です。。

何万という本があるなかで、ほとんど同じ時期に同じ本を選ぶというのは、これはすさまじいことだな、と思います。
このときも、恋に落ちる可能性もあったかもしれませんが、こちとら、もう既婚者だったのでね、とても残念ですよ。というか、そもそも、向こうは、眼中にも入っていないでしょうがね。



なんか、このことを書きながら、昔、理想の異性を見つけるには、本屋でじっと見張って、自分が好きな本を選ぶひとに声をかけるのがいいんじゃないかと考えたことを思い出しました。嗚呼、何という文学青年ぶり。



ま、哀川翔ですがね、私、この手の「アウトローもの」、ときどきですが、読むのですね。元ヤンキーではないのですがね。パーマもあてたことないですし。でも、この手の本を読むと、煙に巻けるんですよね。
まあ、芸術・文学・科学・人文とさまざまな本がありますが、やはりいつも上には上がいます。小難しい本を読んでも、「ああ、あれね、あれよりもこっちのほうが面白いよ」なんて言われたりするもんです。編集者はそうでもないのに本ばっか読んでいるみたいなイメージがありますので、そういうときに有効なのが「アウトローもの」です。「『×××』なんていう本がありましてね」というと、みな、チェックしていていないので、けっこう煙に巻けるわけです。
ま、それとともに、「不良の本」って面白いんですよね。成功者なんて一握りなんでしょうが、生き様というかね、想像以上に知的だったりして。

以前、村瀬嘉代子先生とお話をしていた時、

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「あの本はあなた、お読みになった? とても素晴らしい本だと思わない? あの方はとても知的なのね」

などとおっしゃり。

15歳のとき、家の隅っこに転がっていたのを暇つぶしに読んでおいてよかったと思った私でありました。兄貴、ありがとう。君の蔵書のおかげだ。

子どもと付き合う仕事の方は、アウトロー系も読んだほうがいいのかもしれませんね。
 

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