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2009年2月27日金曜日

野村直樹先生のベイトソン・セミナー

 
どうも。遠見書房主です。

私淑する野村直樹先生のベイトソン・セミナーがあるそうです。
しかも、盟友(?)若島孔文先生の主催で。

これは刺激的な会になるはずです。

東京・晴海、3月14日。
ぜひ、お近くの方で興味のある方は足を運んでくださいませ。

詳しい内容は以下のとおりです。


******************************

第36回 ブリーフ・セラピー研究会主催定例研究会
テーマ:「ベイトソン・セミナー」
講師:野村直樹
    名古屋市立大学 大学院人間文化研究科教授
日時:2009年3月14日(土)10:15~17:00

******************************

■ご案内(以下、野村先生ご本人から頂いたものです)
 「20世紀最大の思想家」といわれるグレゴリー・ベイトソンが今日の臨床科学に
 及ぼした影響は大きい。生物からヒトの社会まで射程に入れたベイトソンの認識論を
 もとに臨床科学はこれまで理論と技法の目覚しい発展を見せた。逆説的介入から
 ナラティヴ・セラピーまで、ベイトソンと無縁のできごとはほとんどない。その理由は、
 コミュニケーション、学習、生存、変化、客観性など、必ず直面し避けて通れない
 テーマがあるからだ。臨床科学はこれからもベイトソンという豊かな鉱脈から貴重な
 資源を掘り当てていくだろう。そういうベイトソンの魅力に再度迫ってみたい。

 このセミナーの目的はベイトソンについて物知りになることではない。
 課題について対話的思考を経験すること。また、自分という土壌でベイトソンの認識論
 (how to think)という種子を植え育ててゆくこと。
 したがって、「自分は分かっていないから」と遠慮する必要はまったくない。
 進んで参加し手を挙げてもらえればと思っている。

 【セミナーの形式】
 セミナーの形式は、午前中の講師紹介とレクチャー、午後の討論、ディスカッションで
 構成されます。午後は参加者の一人が『精神の生態学』の中の論文を一つ選び
 ラフなレジメを書き、簡単に発表、話題提供頂きます。それを起点に討論、
 ディスカッションを始めます。
 
 参加者は全員発表者が決めた論文に前もって目を通すことが求められます。
 参加予定の方々と、当日の約1ヶ月前からメールで通信を始めます。
 なおレジメの用意をしてもいいという人は応募時にお知らせ下さい。
 論文選択の事前の打ち合わせをします。

 (*スタッフより:当日使用論文に関して、「精神の生態学」をお持ちでない方には
           PDFファイルなどでご事前に送付いたします。)
■プログラム
午前中10:15~
  1.講師自己紹介
  2.話題提供 「ベイトソンの魅力」
午後13:45~
  3.参加者のレジメ発表
  4.ディスカッション
  5.参加者からの印象を聞く

■講師:野村直樹先生

■講師紹介:
名古屋市立大学 大学院人間文化研究科 教授
 サンフランシスコ州立大学卒業 コミュニケーション学 M.A.
スタンフォード大学大学院博士過程卒業 文化人類学 Ph.D 

著書
『やさしいベイトソン』(金剛出版, 2008年, 単著)
『ナラティヴと医療』(金剛出版, 2006年, 共編)
『セラピストの物語/物語のセラピスト』(日本評論社, 2003年, 共編)
『ナラティヴ・プラクティス[現代のエスプリ433]』(至文堂、2003年、共編)
H.アンダーソン著 『会話・言語・そして可能性』(野村直樹他訳、金剛出版、2001年)
『ナラティヴ・セラピーの世界』(日本評論社, 1999年, 共著) マクナミー他編 
『ナラティブ・セラピー 社会構成主義の実践』(野口、野村訳、金剛出版、1997年)

■日時:2009年3月14日(土)10:15~17:00(開場:9時45分)
■会場:ホットプラザはるみ  http://www.chuo-hot.com/
     住所:中央区晴海五丁目2番3号
     電話:03-3531-8731
■定員:30名
■主催:ブリーフ・セラピー研究会
■参加費:¥4000(税込)
 ※お申し込み後、折り返し振込口座をご連絡いたします。
  お手数ですが事前のご入金をお願い申し上げます。
■参加資格:ブリーフ・セラピー研究会会員
  受講されたい方は会員になっていただきます。
 年会費3000円/税込(今回新規ご入会の方は2010年6月末日まで会員です)
 ※2009年度[「ベイトソン・セミナー」以降にご入会いただいた皆様につきましては
  2010年6月末日まで会員の権利が継続されます。
■お申込み先: briefcoaching@yahoo.co.jpこちらへ以下の項目をメールにて
   ご連絡下さい。
  1.氏名
  2.メールアドレス
  3. 所属コーチ団体または企業名
4.懇親会参加・不参加(どちらかを削除下さい。)
5.研究会タイトル:ベイトソン・セミナー
   (2月の「ダブル・バインド」との混乱回避のため記入下さい)
■主催:ブリーフ・セラピー研究会
■顧問:若島孔文、石黒康夫、吉田克彦
■運営スタッフ:山口博三、谷口祥子、國井あや子、松本承子、細谷博之、大部聡子、村野秀子
==========

野村先生は、名古屋市立大の教授なわけですが、私は一時期、野村ゼミで博士号(修士もないのに大きく出てますが)でも取ろうか、と本気で考えていた時期があります。結局は、いろいろと生活が忙しくなってしまって、今に至る、という感じなのですが、でも、チャンスと先立つものがあるのならば、やりたいなあ、と今でも思っています。
というわけで(どういうわけかわかりませんが)、ぜひぜひ、皆様、生(なま)野村先生、見てきてください。
ちなみに、上記の野村先生の本は以下のとおりです。

やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう!やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう!
野村 直樹

金剛出版 2008-06
売り上げランキング : 12758

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ナラティヴと医療ナラティヴと医療
江口 重幸; 野村 直樹; 斎藤 清二

金剛出版 2006-12-15
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会話・言語・そして可能性―コラボレイティヴとは?セラピーとは?会話・言語・そして可能性―コラボレイティヴとは?セラピーとは?
Harlene Anderson 野村 直樹 吉川 悟

金剛出版 2001-11
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この3冊は、遠見書房主の編集した本でありまして、たいへんお勧めとなっております。
いい本ですよ。本当に。


セラピストの物語/物語のセラピストセラピストの物語/物語のセラピスト
小森 康永

日本評論社 2003-03
売り上げランキング : 521298

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ナラティヴ・プラクティス  現代のエスプリ433ナラティヴ・プラクティス 現代のエスプリ433
小森 康永 野村 直樹

至文堂 2003-07
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ナラティヴ・セラピーの世界ナラティヴ・セラピーの世界
小森 康永 野村 直樹 野口 裕二

日本評論社 1999-02
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ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践
野口 裕二 野村 直樹

金剛出版 1998-01
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以上の本は、直接は作り手としてかかわってはいませんが、これらもとてもいい本です。
世界に対峙するということを、私は人生の目標にしているのですが(大きく出てます)、野村先生は対峙しているなあ。屹立しているなあ。と、高みを仰ぎ見ながら、思ってしますのです。
臨床を志すひとたちにぜひ読んでほしい本です。

 

2009年2月25日水曜日

度肝抜かれてます。

 
ここのところ、実はあまり本を読んでいない。編集者たるもの、週に3日は本屋に寄り、月20冊は読み、立ち読みで月200冊はチェックせえ、と常々飲み屋などでクダを巻きつつ発言してきましたが、ほんとはその半分くらいがいいところです。特に1月なんかは本当に2冊とか3冊とか、お前、何やってんだ、オラ、というような数字でありました。
申し訳ない。

ここのところ、ようやく落ち着きを取り戻したのですが、自転車通勤などをエコ(ノミー)のためにしている関係もあり、読書量は若干持ち直しただけ。低空飛行(昭和の表現)。

アーヴィングの最新作もようやく購入したのにも関わらず、まだ上の半分くらいしか読んでいない状況のうえ、どこかに紛失(涙 

また会う日まで 上また会う日まで 上
小川高義

新潮社 2007-10-30
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また会う日まで 下また会う日まで 下
小川高義

新潮社 2007-10-30
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とまあ、散々な読書ライフなわけですが、昨日今日とちっとタマッコ(魂)が抜かれるような、すんげえ、本を読んでいます。

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)20世紀の幽霊たち (小学館文庫)
Joe Hill 白石 朗 安野 玲

小学館 2008-09-05
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白石朗さんの翻訳は、キングにしろ、デミルにしろ、グリシャムにしろ、とても面白く、翻訳者としても選書家としても破格な存在ですが、この本も「白石ブランド」ということで買ったもの。帯が「このミス 第4位」というなんとも中途半端な煽りもウケましたが、ともあれ、白石さんは、柴田元幸さん並に外れなし、という感じもしております。

で、これ、傑作でした。
ほんと、傑作。
間違いない。
というか、まあ、かなり感動しています。つうか震えるような感動。ホラーの短編集なんですが、所収された「ポップ・アート」なんて、まあ、なんですか、これ。サリンジャー?みたいな。村上春樹?みたいな。
でも一番似ている(?)のはカフカですかね。フランツ・カフカ。

カフカ短篇集 (岩波文庫)カフカ短篇集 (岩波文庫)
池内 紀

岩波書店 1987-01
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カフカ寓話集 (岩波文庫)カフカ寓話集 (岩波文庫)
池内 紀

岩波書店 1998-01
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カフカの短編がSFの文脈で語られることもないわけではないのですが、そんなカフカのホラー版という感じ。まあ、この作者自身、カフカ好きみたいなんですけれどね。「変身」をリスペクトしちょる1編もありますし。というと、モノマネ臭いかと思うでしょ。でも、これが、違う。

まあ、ホラーなんで好き嫌いあるかと思うのですが、本書は間違いなく大文字の「文学」だと思います。カフカ並というと、歴史の評価を待たないといけないですが、最上級の一冊であることは異論なし、ですよ。
 

2009年2月24日火曜日

割り箸を考える

今日は罪悪感にまみれている。
というのも、「すきや」などに入ってしまったからである。ご存知牛丼のファーストフード店ですね。なんともハラが減ってしようがないので、ふらふらと入ってしまったのだが、まず、これが罪悪感の一つ。なんというか、チェーン店で食べるのは、あんまよくない気がしているのですね。まあ、近所の駅なんか駅前チェーン店だらけで、ほかに選択肢がなかったりもするんですが。
二つ目は、当然、牛丼を食ってしまったのだが、それです。トシを考えろと。そろそろメタボ的にもやばいだろと。なんでなのに大盛りとかにしちゃうのかと。
で、三つ目が、本題の割り箸である。

実は、私、マイ箸信者なのですね。折りたたみ方式というか、二つ折れ式のマイ箸を持ち歩いている。
こんな感じのもんです。

モンベル(mont-bell) 野箸 1124542モンベル(mont-bell) 野箸 1124542

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ただし、昼飯時オンリー。というのも、酒飲むときにマイ箸にすると、すっかりご機嫌になって、忘れるから。実はすでに数回体験済みだったり。


で、「すきや」で割り箸を使ってしまった、というわけである。

別に熱烈なエコ信者というわけではない。マイ箸も、マイ袋も持っているが、ゴミが出るのがイヤなだけである。昔、ファミレスでアルバイトをしていたとき、割り箸が当然、死ぬほど捨てられて、ゲンナリとした思い出もある。インド人みたいに手で食えばいいという気さえする。

でも、最近、「割り箸を使うほうがいいんだ」というような意見を見ることがある。
「間伐材」だからいいのだと。ほら、最近、反エコ本、雑誌の反エコ特集とかよくあるじゃないですか。ああいうのに、よく書いてある。
間伐材とは、植林をして、それが成長するときに間引く材木のことである。太くないので建築材料にはならず、まあ、割り箸くらいしか用途がないらしい。だから、割り箸をどんどん使えというのですね。

反エコ本にしろ、エコ本にしろ、読者がチェックしにくいデータを多用することがある。たとえば、割り箸の生産高なんて知っている人はいない。ネットで調べれば出ていることも多いけれど、本を読んで反論を書こうという人以外は調べることもなく、本を読んで、「へえ」と終わりである。
確かに、割り箸に間伐材が使われることはある。が、現在の割り箸は90%以上が中国産だが、そのうちの間伐材の利用率はさほど多くない。というか統計データ自体ない。ただ状況としては、天然林を切りまくっているらしい。天然林を植林しているらしいので、そこに「間伐材」が出てくるわけで、間伐材もないわけではないのだが、その利用は楽天的かつ多めに見積もっても数%であろう。

そもそも、「割り箸=間伐材OK主義」のひとたちは、国内の植林の事情を知っているのだろうか? いや、間伐材を使おうというエコ派のひとたちにも問いたい。

私は山によく行く。そもそも間伐がされているような美林は、ごくわずかである。植林のブームは、1950年代で、薪や炭による家事からガスへの転換の時期でもあった。この時期に政府による誘導で、炭焼きに使われていた二次林や原生林を杉林に変えていったのである。
当時に植林をしまくった方はすでに老人であろう。子どもが継いでいればまだいいほうで、ほとんどの子は都心に出て、ふつうにサラリーマンとして働いている。それだって、すでに定年していてもおかしくないトシだ。

で、当然、山は荒れている。日本にはホントの原生林など実はわずかしかない。広葉樹のきれいな森も、多くは二次林である。炭焼きのために切って、また生えてきた森である。木の太さが揃っているような森がそれである。この国は、あらゆる資源を使って、細々と生きてきたのだろうと思う。
そして今、植林された杉林は、間伐はされている森もあるが、しかし、枝打ちさえされていないところも多い。間伐はされていても、そこいらに打ち捨てられていたりする。時に間伐材が捨てられ幾重にも重なり数百メートルは続く超デカいジャングルジムのようになっている沢があったりする。杉は腐りにくい。家にはもってこいだ。だから、本当に腐らないのですね。沢の中でもけっこう青々としていたりするのだ……。

結局、人手もなくて、身入りもよくないので、間伐材なんて使わなくなってしまったのだ。そして今、エコブームのあおりで間伐材の値段が急騰しているらしい。反対に言うと生かされている間伐材はそれくらいしかないのだ。日本の山は急峻である。谷の底にある間伐材をどうやって持ち上げるのだろうか? 持ち上げたところ、そこに車は入るのだろうか? で、いくらで買い取ってくれるのか? 1本1円にもならないような割り箸をいくつ作れば元が取れるのだろうか? それをおっちゃんがやっているような細々とした商いのラーメン屋さんが採用するのだろうか?

ちょっと山を歩けばわかるだろうに。

現場主義ではないのは、エコ本も反エコ本も同罪だったりする。
それと、反エコ本は単なる不可知論だったりすることもある。わからないならやらなくてもいいというような理論は、事勿れ主義と同じような気もする。

それと、この不況というか、「恐慌」は、脱化石燃料依存社会への足がかりにもなるし、そういう意味で山に、地方に働く人を呼び戻すチャンスであると思う。


って、なんだか憤っていますが。


で、まあ、割り箸である。
無駄だなあ、と思うのは結局のところ、燃やしてしまうからである。
ペットボトルのリサイクルなんて現実には20%しかされていない。でも、厚顔無恥というか、良心的な顔をして売っているのは、リサイクルしてまっせ的な情報がまことしやかに流れているからである。でも、5本に4本はゴミになっている事実をかみ締めつつ飲みたいものである。ちなみにペットボトルがペットボトルになることは1%ほどであり、リサイクルに運良くまわったペットボトルもブルーシートとかそういうものになっている。ペットボトルで飲料水を毎日のように飲む人には、なるべくならば、ブルーシートを日常的に使っていただきたい。
なお、アルミ缶は90%以上がリサイクルされているらしい。アルミ缶そのものに転生(?)するのは62%とか。優等生である。
いや、ほんとペットボトルは使わないほうがいいですよ。水筒、持ちましょうよ。けっこういいです。

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まあ、近所のディスカウントストアでいろいろと売っていて、吉祥寺だと「ロジャース」が上のモデル、遠見書房調べで最安であった。冬と夏が消費ピークらしく、その前後に買うと安いみたいです。

閑話休題。

ともあれ、でも、割り箸のリサイクル率なんて、ほぼ0であろう。まあ、当たり前である。
なので、悔しいのである。
で、思うのだが、どうして日本ではゴミ発電がないのだろうか。ゴミ処理で焼却するときに重油などを使っていることはよく知られている事実である。その変わりに焼却炉にペットボトルを入れちまえという学派も存在する。ペットボトルはけっこう景気よく燃えるのだ。
でも、燃やしただけで終わるのが寂しい。近所の学校とか老人施設とかに「お湯」として廃熱が使われるところもあるが、それにしたって余っていそうだ。お風呂屋さんのボイラーはゴミ焼却場よりも圧倒的に小さくても無理なくやっているわけだし。近所にお湯を給湯してくれればいいのになあ、とも思ったりする。
なら、発電に使えばいいじゃん、と思うのである。国内でも数箇所で行われているみたいだが、あちこちでやればいいのに。ついで言えば、重油を入れるのは生ゴミの水分のせいなので、生ゴミは発酵させてメタンガスにしてそれをついでに発電に使えばいいのに、と思う。残りは、肥料にすればいいっしょ。
でも安定した電力が出ないとかそういう話らしい。でも、その電力を電力会社に売ろうという魂胆(?)が話を面倒にするのであって、市役所とか学校とか、そういうところで使えばいいじゃん、という気がする。でも、ガスで家で発電するようなシステムもあるわけで、本当の理由は縦割り行政だとか、原発増やしたいからとか、面倒だとか、そんなことじゃないかと思う。風力発電みたいに、ランドマークっぽいエコでもないし。風力発電よか、よっぽど電気を作るんじゃないかなと思うけれども。

そうすれば、割り箸燃やしても、ちょっとは罪悪感を抱かなくても済むかもしれない。
 

2009年2月23日月曜日

たちまち増刷です

 

静岡大学保健管理センターの太田裕一先生がかの有名なブログにおいて『カルトからの脱会と回復のための手引き』紹介をしてくださいました。
ありがとうございます。

> というかこういう感じ方は世代差でもあるのかという気もします。
> ぼくらはやっぱりノストラダムス世代というか、オウム世代とい
> うか、自分の近くでも破壊的カルトに関わっていった人がいるし、
> 前の病院にもう少し長く勤めていたら地下鉄サリン事件の被害者に
> なったかもしれなかったので。


太田先生がおっしゃる「ぼくら」に私自身含まれているのかわかりませんが、遠見書房主は、ノストラダムスにやられた世代です。ロテさんと太田先生のちょうど真ん中くらいになるんじゃないかという感じがしますけれど、どうなんでしょうか。
そして、オウム事件のとき、私はすでにサラリーマンでしたので、本当に衝撃的でありました。あのときは阪神震災もあって、なんか無茶苦茶な感じだったんですよね……。

実際、カルトに関わっていた人や自己啓発セミナーに入っちゃった人とか、けっこういました。結局、ある意味で、ハマちゃった人は弱い人なんでしょうけれど、それ以上に、自己愛の強さというか、心の奥底にある選民的な思想というか、そういうものを感じることもあります。なぜ、あのエリートが、というようなことが当時から言われましたが、そんな不思議でもないのですね。
と同時に、オウム事件の主犯格だった知り合いだったという人たち何人かとたまたま知り合いになったことがあるのですが、大学時代や高校時代の彼らは「地味だった」というのですね。傍目から見ればエリートでも、エリートたちがたむろしていた一流大学なんかですと、エリートなんかじゃなくなってしまう。彼らが逃げ場を欲していたのがわかります。
それに、雑誌の「ムー」とか、「光の戦士」とか、なんか、いろいろあったんですよ。そういうものたちの心のともし火になるような雑誌や考え方が。。。選ばれた者たちは現実社会だとたいしたことがなくてもよかったわけです。仮の姿ですから。それが救いになっていたのではないかと。
現在でも、たとえば、ひきこもりの子の幻想で、「戦争になれば、オレはヒーローだ」というようなものがあるんだそうです。戦争になればひきこもるのはやめて戦線に出て、敵どもをやっつけてやる、みたいな子どもっぽい幻想が。現実言うと、軍隊は超学歴社会なんで中学からのひきこもりなんていう子には、ちょっと厳しい社会だと思います。平和が一番です。
ともあれ、私自身は運良くカルトにハマらなかったのでよかったんですけれど(まあ、どっちかというと、ダメ連ですし、リア充というやつですね)、でも、さほど変わらないんじゃないかとも思うのです。

東大の伊東乾先生に、

さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生
伊東 乾

集英社 2006-11
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という秀作があります。いい本です。

けっこう、身の回りの話なのだと改めて思う次第です。


ともあれ、太田先生ののお陰なのでありましょう。



アマゾンで、なんと、1790位

中古品が3,193円で売っておりますが、1,995円の新品をすぐに納品しますので、間違えてお買い求めにならないようにお願いいたします。

 

2009年2月19日木曜日

とても悲しいこと:平岡正幸先生の急逝

 
『カルトからの脱会と回復のための手引き』の編集代表であった平岡正幸牧師が、昨日18日午前5時に亡くなったとの報が入った。緊急入院をされと聞いたのは数日前のことだ。まだ、58歳という若さだったのに。とても残念です。

平岡先生とお会いしたのは、ほんの4、5回しかないが、この本を作るのにあたって、メールのやりとりを幾度も重ねた。同時に、遠見書房の設立に関しても、とてもよくしていただいた。この本を遠見書房から出せたのは、平岡先生のご尽力があったからだ。そのお力添えをいただけなければ、会社の設立は困難だった。海のものとも山のものともわからぬ会社から本を出すのは難しい判断だったろうと思う。でも、「会社はどこでもいいですよ。山内さんがやってくれればいいんです」とありがたくも仰ってくれた。組織云々よりも私という個人を信用してくれていたのかもしれない。そういうところが宗教家や弁護士、心理学者などなどをまとめる、いわば超党派である日本脱カルト教会の原動力となったのだろう。いつもにこやかで、ほがらかで、温かい人で、ユーモアがあった。
goodnews.hiraokaというのが平岡先生のメールアドレスだった。なんかいいなあ、と思って、このブログ用のメールアドレスには、「tomigoodbook」というのを真似させてもらった。複数形にすればよかったと、後悔しているけれども……。

『カルトからの脱会と回復のための手引き』は、今日、発注をかけ、増刷することにした。1週間ほどで増刷できるので流通の心配はないが、手元にあるのは数十部である。発売から1カ月もたたぬうちに増刷するのは、まったくの予想外だ。書店での売れ行きも好調だと伺った。
こうしたことを一番に報告したい方だった。本当に残念で仕方がない。

先生、ありがとうございました。
 

2009年2月18日水曜日

『カルトからの脱会と回復のための手引き』

 
自分ところの本の紹介をしなくちゃいけません。
忘れていたわけではないのですが、後回しになってしまいました。



ロテ職人さんがご書評をしてくださった通り、

「大学などで学生相談に携わる人は必須、それ以外は興味のある方どぞーって感じですかね」

というのはとても正しい評価かと思います。


ただ、何人かのカウンセラー(心理)に聞くと、妙にその人たちは「カルト脱会」に携わっていたりするんですね。ある方は、SC的な仕事をして数年で、カルトにかかわることを2ケースやられたとか。

地域性もあるかもしれません。職業性もあるでしょう。総合病院の精神科に来て、「脱カルト」を願うクライエントはほとんどいないでしょうし。

どなただったか忘れてしまったのですが、初診のときに「信心を聞く」という方がおられました。その方から直接伺ったわけではなく、論文で読んだのですが。
たいていの人にとっては「信心ですか……」と答えて、まあ、「はあ、一応、仏教徒ですかね……」というような程度じゃないかと思います。でも、カルトに入っている方やあるいは熱心な信者さんですと、そこについて詳しく話してくれるかもしれませんし、そこに家族や環境の問題の端緒があるかもしれません(というような論文の内容でありました)。
確かに考えてみれば、宗教は生活の一部になっている人と、まったくそうではない人の差はとても大きいですね。

私の知っている「妙にカルトなひとの相談に合うひと」も、もしかしたら、信心を聞いておられるのかもしれません。そうしたアセスメントによって、相談の展開が変わる可能性は十分ありますね。ナラティヴということを考えると、なかなか興味深い話題です。

ともあれ、まったくカルトになじみのない方、知識もない方で、対人援助をされているという方は、ぜひ、本書を読んでいただければと思います。

現実にカルト問題で困っておられる方も、当然、読んでくださいますと、かなり具体的な話題が多い本になっていますから、役立つことも多いでしょう。

詳しい内容については、当社HP中のカタログをごらんくださいませ。


さて、本書の営業活動(というほどではないですが)で何軒かの書店さんを巡りました。いろいろとお会いくださった書店の担当者の皆様、ありがとございました。

類書として紹介したいものは、下記のものです。


カルトとスピリチュアリティ―現代日本における「救い」と「癒し」のゆくえ (叢書・現代社会のフロンティア)カルトとスピリチュアリティ―現代日本における「救い」と「癒し」のゆくえ (叢書・現代社会のフロンティア)
櫻井 義秀

ミネルヴァ書房 2009-01
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これは「専門書」ですね。本書にもお書きくださっている櫻井先生の本です。
社会心理学的なアプローチになりますでしょうか。


「カルト」を問い直す―信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)「カルト」を問い直す―信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)
櫻井 義秀

中央公論新社 2006-01
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これも櫻井先生の本です。
手に取りやすい本ですね。カルト問題の基本がわかるのではないかと思います。


マインド・コントロールとは何かマインド・コントロールとは何か
西田 公昭

紀伊國屋書店 1995-08
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これも、本書にもお書きくださっている西田先生の本です。
カルト問題のなかでの大きい要素になっているマインドコントロールの本です。マインドコントロールというと、あやしげな本も多いのですが(w、これは大丈夫です。


カルト-心理臨床の視点から 現代のエスプリ no. 490 (現代のエスプリ no. 490)カルト-心理臨床の視点から 現代のエスプリ no. 490 (現代のエスプリ no. 490)
高木 総平

至文堂 2008-04-12
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これは、現代のエスプリの特集号です。
本書に書かれた著者たちが何人か書かれています。


Q&A 宗教トラブル110番―しのびよるカルト (110番シリーズ)Q&A 宗教トラブル110番―しのびよるカルト (110番シリーズ)
山口 広

民事法研究会 2004-02
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本書には書かれていませんが、この本の共著者である滝本先生は、日本脱カルト協会の事務局長でもあり、オウム事件でとても有名な弁護士です。山口先生、紀藤先生、滝本先生といえば、宗教トラブル、消費者問題の駆け込み寺として有名です。本書でも、同僚にあたる山口貴士先生が書いておられます。


日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)
島田 裕巳

幻冬舎 2007-11
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カルト、というわけではありませんが、新興宗教について知りたい方は、ぜひ上記の本を読んでください。とても勉強になりました。

2009年2月17日火曜日

わたしの1時間はいくらか

 
1時間いくらか?ということが重要だったのは、学生時代のアルバイトである。さして多くのバイトをしたわけではないが、たいていのアルバイトは1時間いくらか、ということになっていた。なかには一日八千円などという日給計算のバイトもあったが、それでも時給換算をして、「となると、時給九百円か、まあまあだな」などと考えたりする。
このクセは、学生時代がはるか遠くになった現在でも続いている。
しかし、被雇用者だった時分は、1時間=いくらという概算が成り立ちやすかった。月給を労働時間で割ればいいのである。ありがたくもそこそこのお給金をいただいていたので、時給換算にすると結構な額にはなったが、そうすると、反面、「こんなことをしていて給金をもらってよいのだろうか」というような労働1時間があったりする。
たとえば、封筒詰めの作業などというものをやっていた。広告を集めるのに、ダイレクトメールを打つのである。150部かそこらなのだが、手紙を印刷し、コピーをして、封筒の大きさに折って、封筒詰めをして……などとやっていると、1人だったら軽く2時間半はかかる。高い郵送代だ。
アルバイトの子などがいれば手伝ってもらったり、なるべく時給の安そうな(?)若い同僚に手伝ってもらったりしたのだが、それにしても、安い郵送代ではない。
業者に頼めば、きっと安く済むのだろうけれども、150部程度だったら、頼む手間を考えれば、こちらでやった方が面倒はない。向こうだってそんな半端仕事、嫌がるだろう。
まあ、とにかく、1時間いくらか、ということは、長らく僕の労働基準になっていた。

しかし、雇用者として自らをこき使っている立場になると、どうも、塩梅が違う。

たとえば、昨日、僕は取次店に本の納品に出かけた。ありがたくも順調に売れている証左なのか、追加注文があったのである。で、本を何十冊と持っていったのだが、府中から市ヶ谷にある取次店「地方小」までは遠い。天気もよかったので、バイクで行ったのだが(まあ、バイクに載るくらいの量だったのだけれど)、往復で軽く2時間はかかる。
かかる経費としては、

主の時給×2時間+α
ガソリン代(往復)

である。
府中から市ヶ谷までは30キロくらいだろうか。バイクは燃費がリッター20くらいなので、往復で3リットル。330円くらいか。
事故に遭ってしまうことだってあるので、まったくのノーリスクではない。保険料もかかっている。

もし、宅急便に頼んだら、まあ、1000円~1500円くらいで済むことだろうと思う。これだって不着はあるだろうが、ほとんどゼロだ。リスクはさほどないと言えるし、中の商品が無茶苦茶になっていたりしたら、保険が効く。
遠見書房主の時給だって、まあ、1000円よりは高かろうから、時給換算的には赤字である。

でも、僕は結局、自ら行くことにした。ヒマだったこともある。土日もなんかだらだらと仕事をしているところがあるので(一日働いているわけじゃないけれど)、月曜日だからといって忙しいとか、そういうことはあまりなくなっているというのも理由としてはある。でも、最大の理由は、僕がすでに時給で働いているわけではない、ということである。
ガソリン代300円を差し引いて、僕は700~1200円は得したのである。
僕はすでに時間を割いて給金をもらっているわけではない。当たり前だが、たとえば事務所に2時間いても、だれもお金はくれない。2時間バイクに乗って市ヶ谷を往復する方が利益にはなる。その2時間、もっと実入りのある仕事をすれば別だが、その実入りのある仕事をするのは、別に、市ヶ谷から帰ってからの2時間だって構わない。そうすれば、二重に所得になる(はずだ)。

編集という作業は、どうもうまく定義しにくい。きた原稿を本にするまでの間ケアをする、という作業であるが、正直、著者がまったく完璧であれば、必要のない職種である。それでも存在しているところを見ると、霊界と俗世を通ずるイタコとかユタとか巫女のようなものなのかもしれない。なんて、カッコウ良すぎますね。遣り手婆というべきかもしれません。
ともかく、その作業自体には、一冊ごとにさして違いがあるわけではない。もちろんいろいろと大変な方もおられるし、まったく手間もかからないような方もおられる。量によっても、求められる質によっても違う。でもやることは、読んで、赤字を入れて、直しを確認する、というような作業である。
しかし、できてしまえば、売れ行きが作業の合理性をとても左右することにもなる。同じような時間をかけた本が2万部売れるのと、200部しか売れないのとでは、合理性がまったく違ってくる。こういうのを対費用効果というのだろうか。よくわからないけれど、1冊あたりにかかった人件費が、よく売れる本ではほとんどゼロになり、まったく売れない本では多くの割合になる。とはいえ、売れない本だからといって、途中で値を下げたり、あるいは経費がかかったのだと値を上げたり、ということはしにくい。
反対に売れる本は、寝ている間にも売れる。市ヶ谷までバイクで行っている間にも売れてしまう。出版業は、面白いなあ、とつくづく思う。しかし、売れなかったら、これまた泣くなあ、とも思う。時間が売れる時代が懐かしくさえある。


開業をされている心理療法家の人と話していて、1ケース1万円だとして、週5日、8時間(8ケース)働いたら、年収2000万円じゃないか、というような話になった。実際、そんな人がいるのかは知らない(いや、知っているけど)。可能性としての話である。年齢制限がないことを考えれば、とても高給取りである。時間を売る系の仕事としては、最良の部類の仕事の一つであろう。もちろん、うまく行けばだが。
一方、出版社は10万部の本が出てしまったら、仮にそれが1500円だとして、1.5億円である。もちろん、これは遥かなる夢であり、10万部を超える本になるものは、何万という本の商品点数のうち、ほんの一握りである。宣伝費も多くかかるだろうし、印刷諸経費だってかかる。印税もある。となると、残るのは3分の1くらいだろうか。10万部も本を動かすことを考えるととてもひとりではできないので、人件費もかかるだろう。それに税金がかかって……。というと、残るのは。。。。

働くとは何だろう?
その対価である金とは何なんだろう。


そんなことを思っていたら、ふと、ちょっと前にカーラジオで聞いた放送大学の授業を思い出した(私は、車内でときどき放送大学を途中から聞き、「これは何の授業だろう」と悩むのが好きなのであります)。
それは労働組合史の授業だったのか、最低賃金というものがどういうふうに生み出されたかという話をしていた。それによると、最低賃金というのは、当時の組合が、最低限の文化的な生活を送るに足る金を積算して作ったものなんだそうですね。いまも使われている積算方法は戦後まもなくに出来たもので、反対にいえば、それまでは最低限の生活を送ることも困難な労働環境もあったのだろう。
時給換算の根本は、ここからきている。月の賃金を一日で割り、それを時間で割ったものが、時給の基礎となるものになるのであろう。ともかくも、最低限の生活が送れること、というのが基本である。


で、「派遣村」で有名になった湯浅誠さんの本を現在読んでいるのだが、

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
湯浅 誠

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これを読んでいると、惨憺たる気持ちになってくる。

確かに、時給換算や最低賃金などはまだ守られているのだが、最低限の賃金を払った後、かなり高い寮費だの、なんだの、とそこから企業がついばんでいくのである。超がつくような田舎町なのに、2Kくらいでで7万とか取るなんて、とんでもない悪行だ。正直、たちが悪い。胸糞も悪い。その辺りのついばみ方が、とてもひどい。月給20万で、手取り15万で、それでなんか経費とかいろいろと抜かれて、残らない月がある、なんていうんだもの……。


働くとは何だろう?ということを考えさせられてしまう。
社会の仕組みが、ちょっとおかしくなっているという気がする。

この本は、とても面白いので、オススメです。たぶん、心理臨床でよく言う生活のとは、ちょっと違うのですが、ここに目を背けたいほどリアルな現在の生活が描かれています。

 

2009年2月13日金曜日

ベイトソンからカルトまで!

 
野村直樹さんからメールをもらい、リオタールの訳者である哲学者 管啓次郎さんの書評に、私が旧社でかかわった『やさしいベイトソン』が取り上げられているというので、さっそく拝見する。

紀伊国屋 書評空間

いや、また、これすばらしい書評である。いくつか「予想」を述べておられるが、だいたい当たっている(?)気がする。なぜ、ドンキホーテなのかは永遠の謎として放置しておくとしても、ともかく、いい書評である。ありがとうございます。
「も」としたのは、こないだ、『こころの科学』で拝見した江口重幸さんの書評も、正直、ぶっ飛んだからである。ぶっ飛び度で言えば、双璧である。川の向こう側にベイトソンの研究対象だった村がある(しかも、パプアニューギニアとかで)っていうのは卑怯なほど、すばらしいシチュエーションであり、そんな書評には言葉を失ってしまう。書評そのものがリアルに独立して存在しているかのようである。私が何を言っているのかよくわからない方は『こころの科学』を読んでください。ぶっ飛びますし、のけぞります。

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さて、管さんは、もうひとつブログをやっておられる。

野村さんの書評を探しているときに見つけたのだが、これまた、面白かった。
2月8日の記事は、なんと、服部文祥氏についての記事である。

http://monpaysnatal.blogspot.com/2009/02/blog-post_08.html

服部さんについて、なんと、「最重要の思想家のひとり」と書かれていて、これにも驚く。慧眼かもしれぬ。これは服部氏が書いた朝日新聞へのコラムへの賛辞であるが、この「ゲストであることをやめろ」という話がまとめられているのが服部氏の最新刊、『サバイバル!―人はズルなしで生きられるのか』である。

サバイバル!―人はズルなしで生きられるのか (ちくま新書)サバイバル!―人はズルなしで生きられるのか (ちくま新書)
服部 文祥

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私が服部文祥を知ったのは、もう7、8年近く前である。とある本に、目をぎらぎらさせた男の写真が掲載されていた。モノクロ写真のそれは、セルフタイマーで撮られた一葉であり、石の上か何かにカメラを置いたのだろう、微妙に傾いていた。その本の一隅に、「サバイバル登山を実践する服部さん」というような感じで写真とともに数行の記事が書かれていた。たぶん山に入って相当な日数がたっているのであろう、目が血走っているのである。確か、ほかのどこかでヘビを食っている写真も見たことがある……。
その異様にぎらぎらとした写真と、愛読する雑誌『岳人』にたびたび署名が載る編集者・ライターである服部文祥が結びついたのは、それからまもなくであった。おととしの夏だったか、その前の夏だったか、同誌上に、日高山サバイバル脈縦走という、無闇に面白い記事が出ていた。「何じゃ、この人は」と思ったのである。
その山行に関する話は、こちらの本にまとめられている。

サバイバル登山家サバイバル登山家
服部 文祥

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なお、服部氏は、たびたび誌面に顔をさらすのだが、まったく同一人物には思えないほど、よく顔が変わる。私は比較的相貌認知がいい人間であるが、まったくわからなくなってしまう。サバイバル前後で、きっと大きく変わるのでありましょう。

服部氏は69年生まれというから、私の少し上である。バブル時代を横目には見ていても、実質的には何の恩恵も得ていなかった世代であろう。私もバブル時代は大学生であり、弾けたとたんに社会に出て行かざるを得なくなり、残業を続けても増えない給料に、学生時代のバイト代のほうがよかった……と悲しくなったものであり。
その彼(私か)が「物質主義」あるいは「消費」に対し疑義を示すのはとてもよくわかる。

当時、バブルのころにもそういう流れがあった。必ず反流があるものだ。それは精神主義的な流れであり(その上に心理ブームがある気がしているが)、目立つ「精神主義」の一つとして、バブルの時代には新興宗教や自己啓発セミナーが花ひらいていた。今も覚えているのだが、テレ朝の夜中の番組で、「オウムvs幸福の科学」なんていう番組をやっていた。麻原以下、弟子たち数名と、大川以下、弟子たち数名が、「朝生」方式で大討論をするというトンでもない番組である(!)。もちろん、上祐はよく喋っていた…。ともあれ、そんなふうに「精神主義」は脱構築され、神秘主義に近づけられ、カルト化していった気がする。カルトを生むのは物欲主義の蔓延と、それに対する嫌悪であろう。そして、それは同じように、カルトではない、誠実さも生む。阪神震災でのひとのつながりと、オウム事件がほぼ同時に起きたのは、とても象徴的だ。
それから15年近くたった「不況」の今も、きっと何か大きなうねりを作り出すだろう。いいものも、わるいものも。
『カルトからの脱会と回復のための手引き』もその一つです。なんていうのは強引すぎる手前味噌ですね、すいません。

個としてのサバイバル登山の感性が、コミュニティに広がったらどうなるのだろう…。なんかちょっとわくわくする考えである。服部さんには期待したいのですね。頑張ってください。「岳人」はしっかりと読んでおります故。

まあ、自分でも何が言いたいのかわからなくなってきた。
ともあれ、上記の本は、どれも掛け値なしに面白いです。ベイトソンからカルトまで!
 

2009年2月12日木曜日

本ブログにおけるアマゾン・アフォリエイトについての考え方

遠見書房主としては、なるべくならばリアル書店を利用したいと思っておりますし、買ってくださる読者の方にもなるべくならばリアル書店を利用していただきたいと考えています。
理由としては、個人的になんか通信販売嫌いだから……厨房みたいな意見ですが、スマソです。
まあ、あと、地産地消という考え方が嫌いではなく、マックとか散々利用しているわりには、グローバリゼーションというものに対して根本的に懐疑的であるからです。目の見える範囲のコミュニティに対して投資なり、消費することが人間としては幸せになるんじゃないかと思うのですね。

とはいえ、アマゾン、便利。超便利。データベースとしての既存書店とのすみわけなり、相乗効果もあるでしょう。それに地方書店の悲壮な状況等から、アマゾンという存在が知的希求層に対し、恩恵を与えているのも事実です。だいたい、出版社としてはアマゾンから得られる利益は計り知れないものがあります。蓋を開けてみなければわかりませんが、遠見書房の売上げも、たぶん、何割かがアマゾン経由のものになると思われます。

遠見書房では、アマゾンの出版社向けサービスの一つであるe託販売サービスというのを使っています。
本来ならば、アマゾンで本を売るためには、取次店(主に大阪屋さん)を通して納品し、アマゾン様がデータをアップしてくれるのを待つ、、、というルートを使います。
しかし、小出版社ですと、まあ、さして売上げも望めないからでしょうか、データ化が1カ月先とかになることもあるんですね。正直、こういう状況は厳しい。よくアマゾン上で「予約」なんてやっていますが、あんなの、中小出版社でやれるところはないですよ。ハリポタかメガ出版社のみですよ、やっているのは。納品からデータ化されるまでに1カ月もかかったら、リアル書店=アマゾンの相乗効果もありません。検索に引っかからなかったら存在しないと同じです。

ところが、e託販売サービスを使いますと、即データ化可能! そのうえ、予約までできちまう……。のでありますよ。
福音!
とはいえ、敵もさるもの、というか、そんな美味しい話ばかりではなく、当然、直取引になりますので、マージンを取られます。アマゾン上に出ていますので、書いちゃいますけれど、4割持っていきます。
4割ですよ、4割。そのうえ、年会費9000円ですし、アマゾンの倉庫までの送料もこっちもち。しかも、在庫を持ちたくないからでしょう、コマメに注文するんですよね。一気に100冊とか注文してくれればいいのに。6冊とか、ナシですよ。。


1カ月待つか、4割払うか……

悩みに悩んだ末(本当に、1カ月くらい悩んだんですが)、e託販売サービスを使うことにしました。
4割は高い。できれば、あと、5分くらい低くしてほしい、というのが偽らざる気持ちですが、予約が可能になるのは大きい。本を印刷する前から「市場」に情報を出すことができる。このメリットは高いのではないかと思いました。でも、なあ、もうちっと安くならんですかね……。


で、です。

本ブログでは、他社の本をご紹介するときには、アフォリエイトを使ってみることにしました。まあ、ほんの一部でもアマゾン様に払ったものが返ってくればいいかな、というような程度のものであり、ひと財産作ろうなんていう気は毛頭ございません。その代わり、小社が出した本の類書や興味のある本について紹介していこうと思っています。
それから、小社の本を紹介するときには、アフォリエイトは使いません。アマゾンへのリンクもするつもりはありません。どんな書店さんも大事なお得意さんですので。
……まあ、多少、偽善ですね。


ともあれ、そういうふうに考えております。
今後ともよろしくお願いいたします。

うれしい。

 
うれしい。
最初に出した『カルトからの脱会と回復のための手引き』がとても評判がよい。
こないだは、私が尊敬している精神科医の先生から、ありがたくも、とてもよい本だとお褒めのことばを伺った。この方はたぶん国内有数の本読みの方であろうと思うので、いろいろと(私への薫陶だとか)割り引いても、素直にうれしい。
評判だけでなく、売れ行きもなかなかであるようだ。ようだ、というのは、なんとも情けないのだが、書店さんの売れ行きというのが即時的にわかるようなシステムは出版社にはない。売れて追加注文が入ってくるのを待つしかないのだが、中間取次店にも在庫もあるので、タイムラグもある。
それでも、ここ数回、本が置いてあるであろう書店さんに伺ったら、5冊あるはずが3冊しかなかったり、あるいは、2冊あるはずが1冊しかなかったりしているのですよ。まあ、他の棚に置いてあるのかもしれませんが。

で、きょう、Amazonを見てみたら、なんと、売上順位が3000位である。
3000位ですよ、3000位。
読者の皆様にとっては、「は? 3000位? 高校野球で言えば、どのくらい?」ってな感じであろうが、3000位は、けっこうイイ数字であります。
実を言えば、自分が確認した範囲では、私の作った本は5000位台が最高位であった。それでも、何万という商品点数がある本の世界である。5000位というのもなかなかいい数字なので、思わず、画面キャプってしまったくらいである。当然、著者の先生にも記念に贈ってしまった。当然、今回も撮ってもうた。



そんな感じなので、3000位というのはうれしい。高尾山マラソン大会(8キロ)で50何位に入ったとき以上にうれしい。
もちろん、書店に置いてある数が違うので、アマゾンに読者が流れたということは否めない。まあ、それを差っぴいても、おかげさまで、けっこう売れているのではないかと思うのです。皆様、ありがとうございます。

そして、もう一つ、うれしいことを言えば、確定申告が終わりました。提出日を前に終わりました。ヤッター。これも苦労したので(本当に帳簿つけについてはゼロからのスタートで…泣…そもそも数学弱い超文系なのに)。。。

個人事業として申告をするのは今年のみなのだが、まあ、今後の経理のこともあるので、会計システムについて軽く勉強しておこうと、何冊も本を読んでしまった。税務署が行う勉強会などにも出席してしまったり。
確定申告の本って、毎年変わるんですね。法体系が微調整されつづけているので、こういうのも毎年――とは言わず、定期的にチェックしないとまずいものみたい。
結局のところ、一番役に立ったのが、確定申告直前に買ったこの本でありました。

フリーランス・個人事業の青色申告スタートブック[最新税制対応版] (お金の実務シリーズ)フリーランス・個人事業の青色申告スタートブック[最新税制対応版] (お金の実務シリーズ)
高橋 敏則

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どうも確定申告の本は年末から年明けにかけて発売されるものらしい。けっこう皆、駆け込み需要をするのね、よかった、オレだけじゃなかった……。なので、買うときは奥付をちゃんと見て買うのがヨシなのでありましょう。

それにしても、いまは、確定申告も国税庁のHP上で計算というか、書類が作成できるんですね。自分の手元で数字を確定する必要はありますが、それがある程度出ていれば、あとは、HPで入力して、勝手に計算してくれて、プリントアウトしたものを提出すればOKということになっている。
ここまでやれるのならば、サラリーマンの源泉徴収なんかやめて、皆、申告をしたほうがいいように思う。背広やネクタイなど必要経費にすべきですよ。
まあ、そんなふうに思うのも、確定申告(の書類作り)が終わったからでしょう。まあ、税務署に持っていって、それで、また何かあるんでしょうけれども。

***

起業のときにいろいろとお世話になったとある方が病に伏されたという話が伝わってきた。
人生塞翁が馬。
うれしいことばかりが続くわけではない。
ただただ病状の回復を祈るばかりであるが、うれしい気持ちをお伝えしたかった方なのに……。
 

2009年2月10日火曜日

はじめまして

 
1:遠見書房とは、、、

心と社会の学術書・専門図書を中心に出版活動をしようと、2008年末に創立した出版社です。

リーマンショックが荒れ狂うこの御時世に船出をした向こう見ずな会社でもあります。。。

臨床心理学や精神医学、福祉学を中心とした、実践家に役立つ本と、その周縁にある「人間って何だろう?」という問いを命題に孕んでいる学際領域の本と、この二つのスペクトラムのなかで、しっかりとした本づくりを目指しています。

なんか難しい言い方ですが、人間って何だろう?という素朴な疑問が、多くの学問の背景にあるんじゃないかと思います。それこそ、神学から物理学まで。もちろん、その命題がすでに消えてしまった学問もありますが、その疑問が色濃く残っている分野の本を作っていきたい、と思っています。

いわゆる「専門書」を主軸として、本をつくっていこうと思っています。

専門書というと、なかなか一様に定義はできないのですが、1)専門家が書いた専門家のための本、2)専門家が書いた、その専門的知識を必要とする人ための 本、、、二つを考えています。2)は、まわりくどい言い方をしていますが、たとえば、こころの問題に悩む方が読むような「当事者向けの本」などのことです。
専門書というと、ただの進級・進学や資格試験のための教科書、、、というイメージがありますが、それだけは寂しいですし、そんな出版社は他にもたくさんありますから、生きた知識が詰まった本をお届けできればと、願っております。


2:遠見って名前、どうよ?

この会社を遠見書房と名づけました。
遠見とは、文字通り、遠くを見ること。望遠鏡のことを昔は遠見鏡と言ったそうですね。見晴らしのいい場所に、「遠見」と名づけられた場所があったりします。
長崎にも、遠見山というのがあるそうですが、たぶん一番有名なのが(というか、私的に、ですが)、北アルプスの五竜岳という山に連なる、「遠見尾根」でしょう。途中に、大遠見山・小遠見山というピークがあったりします。
名前を考えあぐねていたとき、川の名前にしようか、山の名前にしようか悩んでいたのですが(一時、野川書房という名も考えていました)、登山用の地図を眺めて、「お、これだ」ときたのが、「遠見」でした。
遠見──とおみ──なかなか詩的ですよね(自画自賛)。
……まあ、本当にとおみと読むのか自信がなくて、辞書を引いたのは内緒ですけれども。


3:「チラ裏」って?

このブログをチラ裏と名づけました。
チラ裏とは、チラシの裏のこと。チラシの裏が白いものに落書きをしたりしましたよね。転じて、まあ、ネットの世界では「そんなことはチラシの裏にでも書いておけ」などと、どうでもいいような文章について、揶揄されるようになりました。
チラッと裏をみたいな意味にとってくれた優しい方もおありかと思うのですが、たぶん一番連想するのが(というか、私的に、ですが)、チラリズムのチラではないでしょうか。
ブログの名前を考えあぐねていたこともなく、まあ、適当につけたのですが、いくつかブログ的な記事を考えてみて、こんなの、喜んでくれる奇特な方、おられ るんかいなあ、と思って自虐的につけたのがこれです。まあ、自虐じゃないよ、真実だよ、というふうにはなるべくならないよ、頑張っていきたいと思っていま す。
チラ裏──チラシの裏に書いておけ──なかなか詩的ですよね。
……まあ、本当はけっこうトイレの落書きくらいには面白いんじゃないかと自信があるのは、内緒ですけれども。

ともあれ、ブログともども、小社をよろしくお願いいたします。

   遠見書房 発行人
              山内俊介